「久保建英にリーダーの貫禄」「悪魔だった」 現地紙がセビージャ戦の活躍を激賞 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「久保のゴールが決まれば負けない」】

「ATAKE EFECTIVO」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』の地方版の表紙は、ゴール後に荒ぶる久保の写真で、そう打電している。ATAKEは「ATAQUE(攻撃)」というスペイン語の一部を、TAKEともじったものである。地元の喜びが伝わってくるだろう。「EFECTIVO」は効果的な、という意味だ。

「タケはベストプレーヤーだった。すばらしい(コンディション)状態で、まさにリーダーの貫禄。毒を打ち込むような仕掛けで、"久保のゴールが決まれば負けない"と敵味方が知っているだけに、試合のカギになっていた」

 久保はラ・レアル入団以来、19得点を記録しているが、その時の戦績はなんと17勝1分け。1度も負けていない。開幕以来、低空飛行を続けるチームで、「無敗将軍」のような立場にいるのだ。

「チームをけん引する、ということに対し、逃げも隠れもしない」

 久保はスペインメディアとのインタビューのなかで語っている。「Tirar del carro」という、「荷車を引く」から転じ、「チームを引っ張る」と絶対的なリーダーを意味するスペインでは特別なフレーズを使っていた。それだけの覚悟があるのだろう。

 彼の周囲は、とにかく騒がしい。

 久保を擁護しているのかもしれないが、「監督は無能だし、こんなチームにいても意味がない。すぐに移籍すべき」と、暴論に近い雑音が常に起こる。それだけ注目される存在なのだろう。しかし久保自身がステップアップを望むのなら、ラ・レアルを引き上げるしかない。それは本人が一番承知しているはずだ。

 その点で、セビージャ戦で久保が見せたプレーは満点に近かったが、本人は満足していない。

「(10点満点の)8点はつける。勝利につながったゴールを決められたし、結構、よかったと思う。けど、10はつけない」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、ゲームMVPに選ばれた後の久保のコメントをそう伝えている。

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