守田英正が所属するスポルディング・リスボンの本拠地「エスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデ」~欧州スタジアムガイド~ (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

 この7代目のスタジアムは、ポルトガルの建築家トマス・タヴェイラが設計したアルヴァラーデ21と呼ばれる複合施設の中心にあり、旧スタジアムの跡地には映画館、フィットネスクラブ、クラブミュージアム、スポーツパビリオン、クリニック、オフィスビルを含むアルヴァラーシャと呼ばれるショッピングモールも含まれている。スタジアムの外観には最初はカラフルなポルトガルタイルが使用された。
 
 こけら落としにはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドが迎えられ、スポルティングCPは3-1と強豪を下した。ただ、この試合で出色の出来を見せた18歳の若きクリスティアーノ・ロナウドは、マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督の目に留まりこの試合の数日後にマンチェスター・ユナイテッドへ移籍している。

 ポルトガルで開催されたEURO2004では5試合が開催され、2005年5月18日にはUEFAカップの決勝戦も行なわれた。その後2021年、フレデリコ・ヴァランダス会長は、「エスタディオ・ジョゼ・アルヴァラーデ」の多色スタンドの座席の色をクラブカラーである緑色に変更すると発表し、2022年に完了。当初はさまざまな色がモザイク状に配置されていたが、使用開始から20年が経過した時点で、それらはすべて濃い緑色に変更され、当初は鮮やかな黄色だった屋根の支柱と階段も緑色に塗り替えられている。
 
 スポルティングのファンにとって誇りである「アルヴァラーデ」は、進化の歩みを止めない。スタジアムは 2025-26シーズン末までに、座席数が2,000席増加する。さらに現在のスクリーンは撤去されて、新しいビデオスクリーンが設置され、バーへのアクセスや多様なグルメダイニングを楽しめるラウンジが作られる予定だ。
 
 クラブの創設者であるかつての会長の名を冠したスタジアムは、時代が変わってもポルトガルサッカーの中心地であり続けている。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

【画像】 2024-25シーズン 欧州サッカー注目クラブのフォーメーション

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