三笘薫、キャリアハイと思わせるプレーでトッテナムを翻弄 逆転勝利の立役者に
プレミアリーグ第7節、9位のブライトンが8位のトッテナム・ホットスパー(スパーズ)をホームに迎えた一戦。リーグ戦の直近4試合で勝ちがないブライトンに対して、スパーズは国内外のカップ戦を含めると5連勝を飾り、上昇気流に乗る。
ファビアン・ハーツラー(ブライトン)、アンジェ・ポステコグルー(スパーズ)はともに攻撃的サッカーを標榜する監督である。試合は立ち上がりから高い位置で火花が散る、斬るか斬られるかの激しい撃ち合いとなった。レベルも高い。目に刺激的なプレミアリーグの魅力が凝縮された、好チーム同士の好ゲームとなった。
前半23分、スパーズは、ブライトンのジョルジニオ・ルター(元U-21フランス代表)の強引なドリブルをピッチの中央付近でカットする。まさに好守が裏返えった態勢から、ジェームズ・マディソン(イングランド代表)、ドミニク・ソランケ(元イングランド代表)を経由して、最後はブレナン・ジョンソン(ウェールズ代表)がゴールに叩き込み、先制弾とした。
前半37分にも素早い攻守の切りかえからティモ・ウェルナー(ドイツ代表)のラストパスを受けたマディソンが、ゴール正面から決め、2-0とした。
しかし、試合の流れはこの直前からブライトンに傾いていた。それは三笘薫のウイングプレーと深い関係にあった。
トッテナム・ホットスパー戦にフル出場、勝利に貢献した三笘薫(ブライトン) photo by Reuters/AFLOこの記事に関連する写真を見る 前半32分、MFカルロス・バレバ(カメルーン代表)からサイドチェンジ気味の大きな対角線パスを受けた三笘は、右足のアウトで決定的なパスを中央に折り返す。ダニー・ウェルベック(元イングランド代表)のスライディングシュートはゴールをわずかに逸れたが、三笘がマーカーであるペドロ・ポロ(元スペイン代表)に対して優位に立っていることは、このあたりで鮮明になっていた。
この1分後の前半33分、三笘は右ウイング、ヤンクバ・ミンテ(ガンビア代表)の対角線パスを受けると、今度は縦抜けを敢行。鮮やかに決める。36分にはMFジャック・ヒンシェルウッド(U-19イングランド代表)にも質の高い折り返しを送っている。
追い上げムードだっただけに、その直後に浴びた0-2とされる失点は、ブライトンにとって手痛い被弾であるかに見えた。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。