サッカー日本代表のチャンピオンズリーグ出場選手をチェック チームに不可欠だった守田英正、南野拓実 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【遠藤が置かれている状況は?】

 南野の前所属チームはリバプールだ。モナコにやってきたのは2シーズン前。リバプールでまったく出番がなくなっていたわけではない。置かれている状況は、現在の遠藤航のほうが悪い。

 今季のプレミア全6試合で、遠藤が出場した試合はブレントフォード戦1試合。それも後半のアディショナルタイムに投入された、事実上、時間稼ぎ交代である。CLでも同様で、リーグフェーズ第1節のミラン戦で出場したのは、後半のアディショナルタイムだった。

 CL第2節ボローニャ戦は出番なし。アルネ・スロット新監督との相性の悪さはより顕在化している。その就任を機に、リバプールは4-3-3から4-2-3-1へと布陣が変わり、結果、遠藤が得意にするアンカーというポジションは消滅した。4-2-3-1の「2」には、遠藤よりライアン・フラーフェンベルフ(オランダ代表)のほうが適任との考え方が、チーム内に常識としてすっかり浸透している。

 森保一日本代表監督は、この件について楽観的だ。昨日の日本代表メンバー発表会見の席上で「(遠藤は)世界選抜のような選手たちと毎日、練習でしのぎを削っているのだから......」と述べている。だが、この状況が長引けば、そうは言っていられなくなる。

 なにより遠藤本人が辛くなるだろう。出場が叶いそうな試合が国内のカップ戦程度という現状に堪えられなくなるはずだ。31歳という年齢もある。のんびりしている時間はない。代表のキャプテンでもある。モナコに居場所を見つけた南野を見ていると、遠藤も1日も早く水が合う場所へ行くべきだと願いたくなる。

 ドルトムント戦に臨んだセルティックの前田は、前半9分に同点弾を頭で決めるなど、ある時までいい意味で彼らしさを全開にプレーした。圧倒的な速さで相手とボールを追いかけ、マイボールに転じても深々とした技巧的な切り返しから縦突破を敢行。成長の跡をうかがわせた。

 ところが、1-2とされたあとの前半29分だった。ドルトムントFWカリム・アデイェミ(ドイツ代表)とのボールの競り合いにあっさり敗れ、追加点を許す原因を作る。

 それ以上に目を覆いたくなったのは前半42分、同じくアデイェミに4点目のゴールを奪われたシーンだ。自陣のペナルティエリア付近でドリブルをアデイェミに再びかっさわられ、そのまま左足のゴールを許している。

 軽率、淡泊、注意力不足。前田の残念な失策で、セルティックは点差を広げられ、終わってみれば1-7という大敗を喫した。野球的に言うならば、1本塁打を放ちながら、ふたつ大失策をやらかした格好だ。スピードを売りにするサッカー選手にありがちな課題が、前田のプレーには凝縮されていた。

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