久保建英が「優れた選手」から「最高の選手」になるために必要なこと 長年見てきたマジョルカ番スペイン人記者の見解 (3ページ目)

  • アルベルト・エルナンド●取材・文 text by Alverto Hernando

【久保建英が真のトッププレーヤーになるためには?】

 18歳でレアル・マドリードと契約を結んだ久保のケースは、ほかの日本人と比べるとかなり特殊だ。ラ・リーガにおける新たな発見となって日本でブームを巻き起こし、2021年以降、浅野がやって来るまでラ・リーガ1部で唯一の日本人選手だった。

 期限付き移籍で所属したチームでは、2シーズンに渡って所属したマジョルカ時代に最も輝き、通算6得点を記録した(2019-20シーズン:4ゴール、2021-22シーズン:2ゴール)。個人成績は1期目のほうがよかったものの、2部降格を阻止することはできず、2期目のパフォーマンスはチームにとってより実りがあった。

 しかし、守備的な仕事を得意とする選手ではなかったため、期限付き移籍先でフィットするのに苦労した。観客からは「守備能力があまりない攻撃をするために呼ばれた少年が、DF陣をサポートするために体力を消耗すべきではない」という指摘もあった。

 それは当時、サポーターの間で「久保はもっと守備に尽力すべきか、それとも守備の負担を減らして攻撃に重点を置くべきか」という議論が生まれ、意見が分かれていたからだ。

 マジョルカ時代、久保は常に守備のタスクに重圧を感じていた。また、チームが中盤で分断されすぎていたため、光るものがあったにもかかわらず、試合を決めるほどの存在にはなれなかった。

 レアル・ソシエダでは、今までにないほどうまく機能しているのは間違いない。イマノル・アグアシル監督指揮下で守備的な仕事から解放され、大きく進化した突破力を生かすプレースタイルを確立した。

 マジョルカ時代と比べると、特にプレーの判断力が成熟し、過去最高のパフォーマンスを発揮している(通算17得点/9月17日時点)。欧州カップ戦に毎年参戦しているクラブで、キャリア最高の成績を残している久保のクオリティーは折り紙つきだが、それは以前からずっと備えているものだ。

 そんな久保が真のトッププレーヤーとなるためにあと少し欠けているのは、長期に渡って高いレベルを維持することだ。それが「優れた選手」と「最高の選手」の違いである。たとえば、欧州のビッグマッチのような重要な局面での判断力にますます磨きをかけ、主役を演じられれば、今でも十分優れているので、歴史に名を残す選手になれるはずだ。

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