かつては稲本潤一、宮市亮、現在は冨安健洋が所属するアーセナルの本拠地「エミレーツ・スタジアム」~欧州スタジアムガイド (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

 新スタジアムは当時プレミアリーグではマンチェスター・ユナイテッドの本拠地オールド・トラッフォードについで2番目、ロンドンではウェンブリー・スタジアム、ラグビーの聖地トゥイッケナム・スタジアムについで3番目に大きいスタジアムとして生まれ変わった。こけら落としは、2006年7月22日、11年間アーセナルでプレーした元オランダ代表のデニス・ベルカンプの引退試合として、彼がかつて所属したアヤックスとの間で行なわれた。
 
 さらにアーセナルを象徴する大砲や、大きなエンブレムが飾られた新スタジアムは、周辺も再開発された。オフィシャルショップやショッピングセンター、レストランなどが整備された。また、スタジアムの内部もエレベーターやエスカレーターだけでなく41のTVカメラスタンド、215メディア席、障害者用の席やトイレ、芝の状態をコンピューターで管理する設備などが導入。もちろん、スタジアムツアーも行なわれており、世界中の「ガナーズ」のファンを喜ばせている。
 
 もちろん旧スタジアム、ハイバリーへの敬意は忘れてはいなかった。新スタジアムにあるクラブオフィスの名は「ハイバリー・ハウス」。また、2009年8月、アーセナルはサポーターからのフィードバックに耳を傾けた後、エミレーツ・スタジアムの「アーセナル化」プログラムを開始した。そのひとつとして、スタジアムの外壁には8つの大きな壁画が描かれ、それぞれ4人のアーセナルのレジェンドたちが腕を組んでいる。
 
 スタジアム東にはドレイトン・パークにつながる2本の橋がかかっており、それぞれハイバリーのゴール裏の名をとって「クロック・エンド」「ノース・バンク」となった。さらに旧スタジアムにあった「アーセナル・クロック」と呼ばれる時計も、新スタジアムの「クロック・エンド・ブリッジ」の外観に取り付けられた。

 また、新スタジアムの敷地内には、クラブの歴史を綴ったアーセナル・ミュージアムも建設された。ウーリッチ時代のスタジアム(主にマナー・グラウンドを使用していた)、ハイバリー、そしてエミレーツ・スタジアムでのアーセナルの素晴らしい歴史にまつわるトロフィー、展示物などが置かれている。選手たちからユニフォーム、靴などを提供してもらい、それも飾られている。
 

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