橋岡大樹が海外でプレーする際、チームメイトに嫌がられても「あくまで強気な態度で臨んでいる」理由 (2ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【練習中にかなり激しくプレーした】

 そんなこんなで「欧州がどんな場所か」と想像する余裕など全くなかった。

 着いてみると、チームメイトに日本人がたくさんいたし、現地邦人も助けてくれた。

 ただ困ったのは、現地のお店が「21時閉店」というのに「お客さんがいない」と、平気で20時45分くらいでも閉店してしまうことだった。また、人口3万9000人の小都市シント=トロイデンは日本料理の食材を調達するのが大変で、米を購入するのにも日本食のレストランに行くにも車で1時間かかった。

 しかし、橋岡にはまだまだ大変な状況があった。移籍期限ぎりぎりにサインした関係で、現地でプレーするためのビザ取得が間に合わなかったのだ。チームを離れ、ひとりでトレーニングするしかなかった。

「チームの練習場も使用できなかったんです。公園などで走ったり、線路沿いの小さな空き地でサッカーをしたりしていました。ああ、オレ本当にプロなのかなとさえ思ったりして......」

 2週間ほど経ち、ようやくチームに合流しての練習参加が認められた。橋岡はこの時"とにかく突っ走った"。まさに堰(せき)を切ったかのように。

「練習中にかなり激しくプレーしたんです。もともと日本でも練習から激しくいくスタイルでもあったので。このためにチームメイトに嫌がられることもありました」

 ベルギーはドイツ語、フランス語、そしてオランダ語とフランス語が入り混じったようなフラマン語が公用語だ。シント=トロイデンはフラマン語圏。複数言語が入り交じるなか、チーム内では「公用語」だった英語で言われた。

"そこまで本気で来ないでほしい。ケガをしたくない"

「少し厳しく言われることもありました。でも僕は『普通でしょ?』という態度を取ったんです。言われても言い返したりして。あくまで強気な態度で臨みました。厳しいプレーを続けたので、ほかの選手からすれば、僕は非常に嫌な存在だったかもしれません。

 結局のところ、そこにいる選手たちと永久に一緒にプレーするわけではありません。お互い、移籍などもあるでしょうし、様々な変化があります。仲よく過ごすことが目的ではなく、自分がいいプレーができればと考えていました。そのため、相手にどう思われようと、自分の成長のためであれば何をしてもいいとすら」

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