浅野拓磨はリーガで成功できるか アギーレが去ったマジョルカで求められること

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 スペイン、ラ・リーガ1部のマジョルカは、日本代表FW浅野拓磨の入団を公式に発表している。契約は2年間。ドイツ、ブンデスリーガ1部のボーフムの残留に貢献していた浅野だが、クラブとは契約満了だったため移籍金ゼロで獲得できた。

 マジョルカは、J2清水エスパルスと業務提携するなど、"親日派"のクラブと言えるだろう。浅野はクラブ4人目の日本人選手となる。過去に大久保嘉人、家長昭博、そして久保建英が在籍。それぞれ、足跡を残している。

 はたして浅野はマジョルカで成功を収められるのか?

2023-24シーズンボーフム(ドイツ)で1部残留に貢献した浅野拓磨 photo by Laci Perenyi/AFLO2023-24シーズンボーフム(ドイツ)で1部残留に貢献した浅野拓磨 photo by Laci Perenyi/AFLOこの記事に関連する写真を見る「左利きサイドアタッカー」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、浅野をそう紹介している。本当は右利きが、まだ情報が乏しいのだろう。

「右利きのアタッカー。前線のポジションはスピードを生かしてどこでもできる。日本ではジャガーの異名」

 一方で、スペイン大手スポーツ紙『アス』の記事は正確だったが、これはクラブの発表文をそのまま引用しているにすぎない。

 ともあれ、現時点での浅野は不透明な存在と言える。ブンデスで残留を争っていたチームの日本人選手は、ラ・リーガではスターではない。まずはお手並み拝見、ということだろう。

 今シーズン、マジョルカは新しいチームで挑む。昨シーズンまでのハビエル・アギーレ監督が契約満了で退任し、オサスナを率いていたハゴバ・アラサテが迎えられることになった。アギーレはクラブを残留させ、スペイン国王杯で決勝に導くなど結果は出したが、5バックの堅守カウンターサッカーは面白味には欠けた。そこで2022-23シーズン、財政的に同レベルのオサスナを、モダンなサッカーで国王杯決勝に導いたアラサテに白羽の矢が立った。

 浅野はどう使われるのか?

 アラサテは、4-3-3を用いる公算が高い。オサスナ時代のアラサテは、トップにはクロアチア代表アンテ・ブディミルを重用したように、大柄でポストワークができるストライカーを好む。左にはモイ・ゴメスのように技巧的ドリブラーを置いて崩し役を求める。マジョルカではそこに、かつての麾下選手アブデ・エザルズリ(現ベティス)の獲得を目論んでいる。

1 / 3

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る