NEC佐野航大の夢は「いつか日本代表で兄貴とダブルボランチ」 オランダ1年目でブレイクした20歳の未来は無限大
NECの佐野航大がオランダ全国紙『デ・フォルクスクラント』選定の「オランダリーグで今、最も魅力的な11人」というベストイレブンに名を連ねた。
同紙の選定基準は、見る者の心をどれだけ惹きつけるプレーをしたか──ということ。スパルタ・ロッテルダムの斉藤光毅を選出した『アルへメーン・ダッハブラット』紙のような採点重視のベストイレブンではなく、インパクト重視という"尖った"ベストイレブンだ。
J2岡山からオランダNECに移籍してブレイクした佐野航大 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る「NECの佐野は、日本サッカーの隆盛を象徴する存在だ。労働倫理やテクニックに秀でた多くの日本人選手がエールディビジで実力を伸ばしているが、スピード、タレント、アトラクティブ(魅力的)......ターンして抜いていく佐野航大もそのような選手のひとり。彼の激しいプレーは見ていて楽しい」(5月20日付『デ・フォルクスクラント』)
昨年夏、J2のファジアーノ岡山からNECに移籍した佐野は、シーズン前半こそフィジカル面で苦労し、出場機会に恵まれなかった。しかし年が明け、リーグ折り返しの第18節トゥエンテ戦で初めてスタメン出場すると、最後までそのレギュラーの座を明け渡さなかった。
ドリブルのテクニック、テンポのいいパス、相手の裏を突く動き──。これらのプレーに代表されるように、佐野は見ていて楽しい選手だ。
しかも左・右ウイング、トップ下、ボランチをすべてこなせるうえ、チーム事情・スコア・残り時間に応じて、サイドバックやウイングバックに変じることもできる。守備の意識も高く、プレスバックで相手の攻撃を封じてから、さらにロングカウンターに転じる走力・ガッツがある。
今年2月のKNVBカップ準々決勝・ADOデン・ハーグ戦のあと、NECでセンターフォワードを務める小川航基は佐野についてこう語っていた。
「中盤に航大が入ったことで、すごくチームが助かっている。彼はいいところでボールを受けて、チームの潤滑油としてスムーズにボールを前に運びながらビルドアップする。前半戦はフィジカル面のこともあって監督は起用しなかったのかもしれませんが、彼のポテンシャルはもともと高いものがありましたし、僕自身は『航大を使ったらいいのにな』と思っていた。すごくいい仕事をしていると思います」
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著者プロフィール
中田 徹 (なかた・とおる)
スポーツライター。 神奈川県出身。オランダを拠点に、2002年よりサッカーを主に取材。オランダスポーツジャーナリストクラブ会員。