シャビ・アロンソ監督のレバークーゼンが無敵の理由 風間八宏「ひとつの新しいサッカーを完成させた」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【攻撃し続ければ失点も少ない】

 確かにレバークーゼンの試合を見ると、選手たちが流動的に動き続けることもあり、フォーメーションを判別するのに時間がかかる。一応、基本フォーメーションは3-4―2-1とされるが、4バックを採用する場合も含め、試合中はその数字どおりの位置に選手がいない時間が長い。それは、風間氏が説明してくれたように、選手たちが原理原則に沿ってボールを受けるための場所に移動し続けるからなのだろう。

「もちろん、各選手には与えられた基本ポジションはあると思いますが、それでサッカーをしているわけではなくて、ボールと自分の間に誰も入れず、その状況を連続させるという原理原則で成立しているサッカーです。ある意味、周りから見ても何をしているのかよくわからないというのが、レバークーゼンの面白さと言えるのではないでしょうか。

 だから、サイドは少し固定されている感はありますが、それ以外の選手はボールを受ける場所がポジション、と表現するとわかりやすいかもしれません。要するに、局面局面で誰がいちばんよいポジションをとるか。それが目まぐるしく変化するので、単純に数字だけで説明するのが難しいサッカーです」

 そんな特殊なスタイルのサッカーを披露するレバークーゼンだが、無敗を続ける要因のひとつとなっているのが、失点の少なさだ。流動的に選手が動けば、守備時に穴が開いて失点も増えそうだが、なぜレバークーゼンは高い守備力を誇っているのか。

「それは、攻撃し続けるからです。この原理原則に従って攻め続けると、相手チームは選手間の距離が遠くなって全体が広がってしまうので、ボールを持った時も簡単には前に出られなくなります。しかも、レバークーゼンは相手を前や横に行かせないようにコースを切って守るので、自分たちの距離を保ったまま、相手の攻撃を封じ込みやすい。相手は逃げ道を失い、追い詰められてしまう状況に陥ってしまいます。

 当たり前の話ではありますが、実際にそれができるチームはほとんど存在しないというのが現実です。それを考えると、ものすごいチームが現れたなという印象ですね」

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