遠藤航はプレミアリーグの頂点に立てるか? リバプールの今季戦術を林陵平が解説 (2ページ目)
【ベクトルが常にゴールに向かっている】
――守備のほうはどんな形ですか?
守備は基本的にハイプレスで、前から行くのが特徴です。
4-3-3のチームは、インサイドハーフの選手がひとり出てきて4-4-2の形で守ることが多いですが、リバプールは相手の4バックに対して基本的に前線の3人で見ます。ウイングの選手は外切り(相手SBへのパスコースを切る)で行き、もし外に出された場合は、SBが縦にスライドして詰めていきます。
そして後方はCBのイブラヒマ・コナテやファン・ダイクが相手を捕まえて、マンツーマン気味で守る。これはシティでもアーセナルでもそうで、前からプレスをかけるチームは全体的にうしろがマンツーマン、そうしておいて全体が前から奪いに行くのが特徴になっています。
リバプールの守備は、4-3-3の時もあれば、状況に応じてインサイドハーフのドミニク・ソボスライが前に出て、4-4-2とか4-2-4というような形でもプレスをかける。
これも、再現性があるというよりも、即興性があるプレスになっている。攻守において、かなり即興性の部分が特徴になっていると思います。
最終ラインは、相手のボールホルダーがフリーな状況でも結構高くしているので、プレスを回避されたり、最終ラインの背後にボールを届けられたりすると、失点が多くなる戦い方ではあります。ただ、それよりもメリットのほうを取っているということですね。
前から奪うことによって、もっと相手ゴール方向に攻められるというのがリバプールの戦いです。やはりボールを奪ったあとに何を考えるかといったら、ボールを持っている時と一緒でまず相手の背後なんです。ここに関して前線の選手と、ボールを奪った選手の意識が合っています。常に前線の選手はアクションを起こすし、うしろの選手はボールを出すので、相手の背後を取りやすい。ここの強度がやはり凄まじいです。
僕はよく解説で言うんですが、「リバプールの攻撃は最短最速でゴールに迫る」。結局フットボールって、ゴールにどれだけ迫れるかがすごく重要です。常に全体のベクトルがゴールに向かっているのが、リバプールなのかなと思います。
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