「久保建英頼み」だったことがレアル・ソシエダの敗因 CL決勝トーナメント4試合を解説 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki

【相手のU-20ブラジル代表を圧倒】

 PSGの4バックの並びが変型だったことも輪をかけた。右のアクラフ・ハキミ(モロッコ代表)が高めに、左のベラルドは深く位置をとり、ビルドアップ時には真ん中寄りに3バック然と構えたため、おのずと久保と距離が離れることになった。

 前半40分。そのベラルドを、久保は呼び込むような動きからきれいに外し、サイド縦突破を敢行。深い位置から折り返したボールはファビアン・ルイス(スペイン代表)にカットされたが、その結果CKをゲット。キッカーとなった久保はPSGゴール前に鋭いボールを送り込んだ。GKジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア代表)に弾かれるも、その流れからボールは再び右ウイング久保の足もとに収まった。

 選択したプレーは縦突破。ベラルドを苦もなくかわすと中央に鋭い右足センタリングを送り込んだ。ゴールまであと一歩に迫ったが、このあたりから流れはPSGに傾いていく。繰り返すが、久保のところしか突破口がないところが、その大きな原因だった。

 PSGが均衡を破ったのは後半13分。CKをニアでマルキーニョス(ブラジル代表)が頭で流すと、ファーポストに走り込んだキリアン・エムバペ(フランス代表)が押し込み、先制点とした。

 久保にやられっぱなしだったベラルドは、後半に入ると気がつけばオーソドックスな左SBの位置を取っていた。久保に圧がかかる状態になった。その結果、PSGの左サイドは攻撃的になった。左ウイング、ブラッドリー・バルコラ(U-21フランス代表)が躍動し始める。後半25分に生まれた追加点はその産物だった。バルコラが左サイドをごぼう抜き。そのままゴールを決めダメ押し点とした。

 レアル・ソシエダの右サイド対PSGの左サイド。優勢に進めた前半のうちにレアル・ソシエダはゴールを奪いたかった。アノエタで行なわれる第2戦。久保が縦突破を何本決めることができるか。目を凝らしたい。

 一番の事件が起きたのはラツィオ対バイエルン戦だった。後半22分。ダヨ・ウパメカノ(フランス代表)が、エリア内でグスタフ・イサクセン(デンマーク代表)を踏みつけ、一発退場&PKになったシーンだ。チロ・インモービレ(イタリア代表)がこれを決め、ラツィオが1-0で初戦を制した。

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