日本代表にも一因? 世界がアジアカップへの興味を急速に失いつつある理由 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【報道の量がどんどん減っている】

 開幕戦こそ8万2000人の観客が入ったものの、その後は、開催国カタールの試合でさえその半数以下に。巨大なスタジアムがより、もの悲しさを醸し出す。中国対タジキスタンの試合などは4000人しか入らなかった。そこにサッカーの祭典という空気はない。

 もうひとつ、アジアカップへの興味減退に拍車をかけているのが、同時期に開催されているアフリカネーションズカップの存在だ。ヨーロッパでプレーするのはアジア人選手よりもアフリカ人選手のほうがはるかに多いし、すでに世界でこの大会が周知されて何年も経っていることもあるが、なによりアジアカップよりも試合が格段に面白いのだ。強く、アグレッシブで有名選手も多い。新しいもの見たさでアジアカップを観戦していた人々も、数試合見た後はアフリカネーションズカップに戻ってきている印象だ。観客の数はアジアカップと大して変わらないかもしれないが、小さな会場(ほとんどが2万人収容程度)でやっているので、その少なさは感じられない。

 大会前はアジアカップへの興味のほうが、アフリカネーションズカップのそれを凌駕していたが、今は完全に逆転されている。

 これは開催を同じ時期に持ってきたオーガナイザーの過ちでもあると思う。この時期に開催するのは開催地の気候への配慮であるとは思うが、バッティングしないよう多少でもずらせなかったのか。それに気候を気にするなら、なぜ午後2時半(現地時間)から気温36度のなかで試合をするのか。疑問が残る。

 世界で報じられるアジアカップ関連のニュースもどんどん減っている。ここ5日間ほどのヨーロッパと南米の主なスポーツ紙やサイトをチェックしたが、アジアカップの記事があったのは、イタリアのサイトにサウジアラビア代表監督を務めているロベルト・マンチーニの話題が載っていたぐらいだろうか。あとはほぼ結果のみ。それもロイターやAPなど通信社が流すものがほとんどだから、"終わっている"。

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