上田綺世の進化を風間八宏が分析「無駄な動きが減り、真ん中でプレーし続けるようになった」 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【世界トップクラスはもっと動きの技術が高い】

 ただ、気になることもある。それは、昨夏にフェイエノールトに移籍して以降、不動の1トップとして君臨するサンティアゴ・ヒメネスの牙城を崩せずに、ベンチを温める時間が増えたことだ。

 ある意味、所属クラブではひとつの壁にぶち当たっているのが現状だが、上田にとって、克服すべき課題はどこにあるのか。

「ひとつは、DFの背後を狙う動きの回数を増やし、もっと質を上げていくことです。誰と比べるかにもよりますが、世界トップクラスのセンターフォワードは、もっとその動きの技術が高いし、スピードもある。ヒメネスもそうですが、そこに追いつくためには、やはり日々の積み重ねしかないでしょう。

 そもそもスペースがあまりない真ん中のエリアでボールを受けることは難しいですし、そこでゴールを決められる選手も限られています。上田もそこで勝負をしているわけなので、そのポジション争いに勝つためには、もっと回数を増やし、もっと速く、つまり正確性を高めなければなりません。

 ただ、どんどん良くなっていることは間違いないので、この調子で続けてほしいですね」

 今シーズンの後半戦、オランダに新天地を求めた上田のブレイクスルーはあるのか。そしてその前に、日本代表として臨むアジアカップでどんなプレーを見せてくれるのか。

 目下成長中の上田から、目が離せない。

風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手、サッカーコーチを指導。今季は関東1部の南葛SCの監督兼テクニカルディレクターに就任。

プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る