上田綺世の進化を風間八宏が分析「無駄な動きが減り、真ん中でプレーし続けるようになった」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【ピッチの真ん中で仕事ができる】

 風間氏が指摘した通り、最近の上田のゴールは特徴的だ。最も顕著だったのは、上田がハットトリックを記録した昨年11月16日に行なわれた2026年W杯アジア2次予選のミャンマー戦のゴールである。

 まず1点目は、5バックを敷く相手が自陣ペナルティーエリア付近で守備を固めるなか、南野拓実がDFラインの背後を狙って供給した浮き球のパスに反応。ヘディングでネットを揺らしたゴールだった。

 前半アディショナルタイムに決めた2点目も、堂安律が斜めに入れたスルーパスに合わせてDFの背後に抜け出して決めたゴールであり、3点目も南野のショートパスをDFの背後で決めたゴールだった。

 すべてに共通していたのが、狭いスペースの中でDFの背後を取った質の高い動きだ。パスの出し手にとっては、上田がつねにDFの背後を狙っていることをわかっているからこそ、ベストなタイミングを計ってパスを供給できるのだろう。

 では、そのほかに上田の強みはどんなところにあるのか? 風間氏が続けた。

「日本には、ピッチの真ん中からあまり動かないで仕事ができるFWは少ないという印象があります。しかし、その中で上田は真ん中でしっかりと仕事ができる選手になっています。

 しかも、狭い場所でボールを受けるのがうまいだけでなく、もともとシュート力もあって、ヘディングも強い。フィジカルもしっかりしている。いろいろなことができる選手だと思います。

 こういうタイプの選手がいると、周りの選手はすごくプレーしやすくなりますし、チームとしても、とても助かりますね」

 現在の日本代表では、古橋亨梧、浅野拓磨、前田大然らと1トップのポジション争いが繰り広げられているが、無駄に動かずに真ん中で仕事ができるという点では、上田にアドバンテージがあるのかもしれない。

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