谷晃生「試合に出なくても学べているからいい、とは思えない」ベルギーでの厳しい現状や葛藤を明かす

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

谷晃生インタビュー(後編)

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 初めての海外移籍を実現して約4カ月半。時間が経つにつれて、ベルギーという国やチームが置かれている環境を素直に受け入れながら、適応してきた谷晃生だが、「いい意味で目新しい世界を新鮮に感じなくなった」昨今は、その胸にこれまでとは違う葛藤が渦巻くようになっていると話す。

 公式戦への出場機会に恵まれていない状況について、だ。ビザの問題やケガもあって、出遅れたのは事実とはいえ、彼がベルギーに渡ってからの約4カ月間半で公式戦のピッチに立ったのは、FCVデンデルEHでのデビュー戦になったカップ戦のKVコルトレイク戦と、前編で記したリーグデビュー戦のスタンダール・リエージュ16FC戦のみ。もちろん、どのリーグ、チームにも競争があることは覚悟していたとはいえ、自身が置かれている現状に気持ちがざわつかないはずはない。

「現時点(12月24日現在)でのチームのリーグ戦での成績は7勝6分3敗ですが、自分がケガから復帰してからは1敗しかしていないことを考えれば、メンバーが大きく変わらないのはある意味、サッカー界では当然のことだと思っています。選手を選ぶのは監督だし、その基準や考えは人によって違うと考えても、そこに対する文句もないです。

 それに、この世界に生きていれば、試合に出られない時間があるのは不思議じゃないというか......もちろん出られるに越したことはないけど、出られない時間も絶対にある。そういう意味では......強がりでもなんでもなく、試合に出られないから、ここにきた意味がないとはまったく思っていません。そもそも、自分のキャリアに対する答えは、すべての結果が出てから、つまりは引退後にしかわからないと考えても、その意味を今の時点で求めるのは違うと思いますしね。

 ただ、毎日時間が過ぎていくのは事実なので。現時点での目標に描く世界5大リーグでプレーするとか、日本代表としてワールドカップに出場することから逆算しても、『試合に出なくても学べているからいいか』とはやっぱり思えないというか。試合に出なきゃ感じられないとか、つかめないこともたくさんあるなかで、その部分が今年の自分からは欠落している現実にも、しっかり目を向けなきゃいけないと思っています」

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