久保建英の快勝劇に古巣の地元スペイン人記者が驚き「日に日にメッシを彷彿とさせる存在に」 (2ページ目)

  • ホセ・ルイス・リサラガ●取材・文 text by José Luis Lizarraga

【デュエルで勝てる選手に進化】

 ビジャレアルのプレースタイルはタケにとって理想的なものであり、キャリアの重要なステップとなると思われたが、事前に書かれた脚本通りにはいかなかった。そのシーズンの冬の移籍市場でエメリにクラブを去りたいと告げた時、タケのビジャレアルでのキャリアは終わりを迎えた。

 自国開催のオリンピックに出場するため、出場機会を求めてヘタフェに移籍したが、自分が得意とするプレースタイルとは大きく異なるチームを選択するという間違いを犯した。エメリ指揮下と同じことが、ホセ・ボルダラス監督の元でも起こってしまったのだ。

 それから月日が流れ、タケはレアル・ソシエダでサッカー選手として、そして人間として大きく成長している最中だ。彼は今、日本のレジェンドおよび欧州サッカー界屈指のクラック(名手)への道を歩んでいるが、それにはイマノル・アルグアシル監督のやり方が大きな助けとなっている。

 タケはビジャレアル時代と比べ、フィジカル面がはるかに強くなり、ピッチでより多くのデュエルに勝てる選手へと進化した。サッカーの魔術師であることに加え、高い守備力を身につけたことで、ビジャレアル時代の課題を克服してみせたのだ。

 また、ラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)がラ・リーガで最も敵陣でファールを犯すチームであることも、彼の成長を助けている重要な要素だ。ラ・レアルのサッカーがいかに攻撃面で優れているかは皆が知るところだが、さらに前線から執拗にプレスをかけ、ボールリカバリー数が多く、守備が非常にうまいチームでもある。

 これらすべてが高いボール支配率を可能にし、タケがボールをより多く保持し、相手ペナルティーエリアに近づくことを可能にしているのだ。

 タケは今季、監督の期待に見事に応え、昨季の9得点4アシストを早々に上回る勢いで、ラ・リーガでここまで6得点3アシストを記録している。

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