三笘薫はライン際の魔術師にとどまらず 迫力のドリブル中央突破はスケールを増した (3ページ目)
【CL出場チームに完勝】
ウルブス戦のスーパーゴールを彷彿とさせるような、逞しさ溢れるドリブルだった。ニューカッスルのDFはいっせいにそのドリブルに目を凝らす。ボールウォッチャーになってしまったその時、三笘は右前方で構えるファーガソンに右足アウトで軽やかにパスを送った。それはファーガソンが左足でハットトリックを決める、直前のプレーとなった。
ブライトンは後半のアディショナルタイムに1点を返されたが、3-1でこの一戦をものにした。チャンピオンズリーグ(CL)出場チームに対し、終始、試合を優勢に進めたスコアどおりの完勝である。
ファーガソンの採点を9.5とするなら三笘は7?7.5か。チームで2番目ないし3番目の活躍と言えた。
今季は相手の右SBを縦にかわすプレーに加え、中央突破のドリブルにも迫力が加わっている。ライン際の魔術師にとどまらない、幅広い活躍が目立つ。スケール感が増した印象だ。
蛇足になるが、来る9日のドイツ戦では、森保一監督がカタールW杯のように5バックを採用し、三笘をウイングバックとして低い位置で使うことだけはやめてほしい。宝の持ち腐れにはしないでほしい。それはいまや世界のサッカーファンの願いでもあるはずだ。
ロベルト・デ・ゼルビ監督にもひと言、言いたくなる。三笘の出場時間はこの日も90分に及んだ。追加タイムが7分だったので実際は97分になる。これでフルタイム出場は4戦中3戦を数える。この使い詰めというか、出ずっぱりの状況はちょっと異常だ。ほどほどにしてほしいものである。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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