エムバペの希望はレアル移籍...だが、7月19日「最終期限」でも結論を先延ばしにする理由 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【優柔不断な態度に周囲はうんざり】

 だがつい先日、アンチェロッティはこれを否定した。「ブラジルとは何回か話をしたにすぎない」と。一見、エムバペとは無関係なこの話も、実はつながっているかもしれない。エムバペを率先してほしがっていたのはアンチェロッティだ。彼がどこにも行かないことがわかれば、エムバペは安心してレアル・マドリードに来ることができる。

 また、レアル・マドリードはある秘密の計画も練っているという。エムバペの弟エタン・エムバペは現在16歳で、PSGのユースチームでプレーしている。彼もまたPSGと2023-24シーズンの終わりまで契約があるが、レアル・マドリードは彼にも契約を持ちかけているというのだ。もちろん、レアル・マドリード側がすべてのおぜん立てをした。

 一方、PSGはエムバペの『フランスフットボール』誌での発言には怒っているが、彼をタダでは手放したくない。チームは彼に7月19日までに答えを出すように指示している。同時に、彼があと2年契約を更新すれば、レアル・マドリードを超えるような巨額なオファーも考えているようだ。ただし新指揮官のルイス・エンリケは、新シーズンの構想にエムバペが入っているかどうかを明らかにしていない。

 そうこうしているうちに別なチームの噂も出てきた。リバプールは彼の獲得に2億ユーロ(約300億円)の用意があると言い、チェルシーは元PSGでライプツィヒに所属していたエムバペの親友クリストファー・エンクンクを獲得、彼にエムバペを説得させようと考えているというのだ。

 しかしそれでもエムバペはなかなか結論を出さない。答えを引き延ばせば引き延ばすほど、いい条件が出てくると思っているのだ。

 エムバペの優秀不断な態度には、皆がうんざりしている。「最大の目玉」が移籍を決めない限り、芋づる式に決まるはずの多くの移籍も決まらないからだ。例えばPSGは、エムバペが出ていった時のことを考えてヴィクター・オシムヘン(ナポリ)とコンタクトを取っているし、レアル・マドリードはドゥシャン・ヴラホヴィッチ(ユベントス)獲得を考えている。そこにハリー・ケイン(トッテナム)の名前も出ている。

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