CL決勝に臨むインテルの強みを風間八宏が分析 「相手に合わせられるサッカー」でシティも食らうか (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

【ジェコとラウタロのコンビネーション】

「シティとはまったく違うスタイルですね。いい意味でも悪い意味でも、予想どおりの結果になりやすいサッカーと言ってもいいでしょう。たとえば、グループステージではバイエルンと対戦していますが、2試合とも0-2で完敗。実力差は明確で、なかなか厳しい内容の試合になりました。

 とはいえ、グループリーグではバルセロナを上回ることができましたし、決勝トーナメントでもポルト、ベンフィカ、ミランを破って勝ち上がっています。それらの試合を見れば、運だけで勝ってきたわけではないのがわかります。

 そのバックボーンになっているのが、チームとしてやることがはっきりしている点。チームとして自分たちの距離と時間が決まっていて、しかも明確なかたちを持ちながら相手のスタイルに合わせることができる。つまり、再現性のあるサッカーです。

 そこがチームとしての強みであり、予想どおりの結果になりやすい傾向になっている要因ではないでしょうか」

 そのように分析したうえで、風間氏が決勝戦で注目するインテルの攻撃と守備のキープレイヤーをそれぞれ挙げてくれた。

「もちろんインテルの攻撃の調子を計るバロメーターは、ジェコにボールが収まるかどうかという点になります。ただ、相手のシティが唯一抱えている不安はディフェンスラインの背後を狙われるかたちなので、そういう意味で、キープレイヤーになると見ているのはラウタロでしょうね。

 止まって受けるのがうまいジェコが"静"だとすれば、何度も動き直しをして背後も狙えるラウタロは"動"。インテルの2トップは、この"静"と"動"のコンビネーションが強みなので、たとえばジェコに一度当ててから、ラウタロが相手の背後を狙う攻撃パターンが予想できますし、それがシティ攻略のポイントになると思います。

 一方、守備のキープレイヤーとしては、GKのアンドレ・オナナと、3バックのセンターを務めるフランチェスコ・アチェルビの2人を挙げたいと思います。

 今シーズンのチャンピオンズリーグの準々決勝以降を見ていると、勝つチームのGKは目立った活躍をする傾向にあります。オナナもそのひとりで、実力的にも決勝で活躍する可能性は十分にあると思いますし、逆に、シティとの力の差を考えると、オナナが神がかり的な活躍を見せるようでないと、なかなか勝つのは難しいのではないでしょうか。

 それと、インテルはどうしても相手に押し込まれる時間が長くなることが予想されるので、最終ラインはなるべく自分たちのゴールから離れたところに設定したい。シティには狭い場所でも高さや足元の技術を発揮できるアーリング・ハーランドがいるうえ、質の高いミドルシュートを狙える選手も多いので、自陣ペナルティーエリアで守ってばかりいるようでは厳しいゲーム展開になってしまいます。

 そういう意味で、3バックの中央でコントロールする役割を担うアチェルビのパフォーマンスが重要になります。ハーランドをどのようにして抑えるかも注目されますが、なかなかひとりで抑えるのは難しいでしょうから、3人の連係がカギとなるでしょう」

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