三笘薫対マンチェスター・シティの右SBカイル・ウォーカー 引いた目で見た勝者はどちらか? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Colorsport/AFLO

【ヒーローにはなり損ねたが...】

 予測鋭く飛び込んだ三笘は瞬間、胸で押し込もうとした。相手GKシュテファン・オルテガに跳ね返されたボールが、押し込もうとした勢いで転倒していた三笘の前に、再度こぼれてきた。倒れ込んだまま再び胸で押し込む三笘。いったんはゴールの判定が下されたのも束の間、VARが介入。あっさり取り消しになった

 前半44分にも、三笘がウェルベックに出したラストパスがオフサイドを取られた。ウェルベックはシュートを決めていたので、三笘はアシストを取り消されたことになる。

 後半12分にはグロスのクロスボールをボレーで合わせ損ね、後半20分にはペルビス・エストゥピニャンのセンタリングに合わせゴールを狙ったが、GKオルテガにセーブされた。

 最も決めたかったのは1-1で迎えた後半36分、グロスが蹴ったクロスボールだ。叩きつければ得点の可能性大だったが,ヘディングはバーをわずかに越えた。結果は1-1の引き分け。三笘はヒーローになり損ねた。

 対峙する相手の右SBウォーカーと1対1に及ぶシーンは幾度かあったが、勝負する機会はゼロに近かった。その雰囲気というか、間合いを、ウォーカーに消されたという印象である。相手のほうが一枚、上手だった。ひと言で言えばそうなるが、マンチェスター・シティの右サイド対ブライトンの左サイドという、もう少し引いた目で見れば、軍配は後者に上がる。

 なにより、マンチェスター・シティの右ウイングとして先発したリヤド・マフレズにいい形でボールが渡るケースが少なかった。右SBウォーカーの下支えが十分と言えなかったからだ。専守防衛、後方待機になりがちだったのだ。三笘を警戒するあまり、と考えるのが自然である。

 想起するのは先日のマンチェスター・ユナイテッド戦だ。三笘が右SBアーロン・ワンビサカに完封された試合として記憶する人は多いかもしれないが、守るばかりが仕事ではないという今日のSBに課せられた仕事内容を勘案すると、三笘はワンビサカの攻撃を抑え込んでいたことになる。ワンビサカは専守防衛、後方待機を余儀なくされたことも事実だったのだ。

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