史上最高の左ウイングは赤の背番号11が似合うあの選手に... 記憶に残る世界の歴代ベスト20 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【最強ブラジル代表の左ウイング】

【4位】アリエン・ロッベン(オランダ)=左利き

 2009-10シーズン、バイエルンに移籍すると、フランク・リベリーと左右のウイングを形成。リベリー同様、準バロンドール級の活躍を演じ、停滞していたバイエルンの成績を欧州のトップレベルに押し上げた。バイエルンでは左利きの右ウイングとしてプレーしたが、それ以前は主に左ウイングとしてプレーした。左利きの左ウイングはいまや少数派だが、かつては多数派で、ロッベンの左ウイングから右ウイングへの移行が世の中の動きに拍車をかけたという感じだ。

 足が速い選手はドリブルがヘタ。ボールが足につかず、暴れる傾向がある。一般的にそう言われるが、ロッベンは例外だ。高速ドリブラーにして技巧派だ。小刻みな足に吸いつくようなタッチのドリブルで疾走。かと思えば急ブレーキを踏み、方向を変える。相手の動きの逆を突く。右ウイングの時は切り込んでシュートに持ち込んだが、左ではそのまま縦に抜き去る突破力が光った。メッシのドリブルも鋭かったが、ロッベンも負けず劣らずで、左足のドリブラーとしては双璧の関係にある。

【3位】デニウソン(ブラジル)=左利き

 どの時代のブラジル代表が好きか。最強だと思うか。見解は人それぞれだと思うが、筆者の知る範囲では1997年のトルノワ・ド・フランス(フランスW杯のプレ大会=現コンフェデレーションズ杯)からコパ・アメリカ(ボリビア大会)にかけてのブラジル代表になる。看板はRo-Roコンビ。ロナウド、ロマーリオの2トップが看板のチームだった。

 布陣は4-4-2という触れ込みだったが、中盤は左右対称ではなかった。左ウイングがいる左上がりの4-4-2。4-3-3の変形型と言ってもいい。そこで左ウイングを張ったのがデニウソンだった。

 かつて、ブラジル代表にはいつの時代も個性的な選手がいた。ドリブルを始めたらボールを離さない選手。トリッキーなプレーをする選手。アマゾンの奥地から出てきたような非今日的と言うか、欧州ナイズされていない選手に目を奪われたものだ。かつて清水エスパルスでプレーしたジャウミーニャなどはその典型的な選手になるが、サッカーのボーダレス化と呼応するように、そうした独特の味を持つ選手は激減する。さみしい限りだが、デニウソンはブラジル人選手らしさを全開にプレーする最後の選手と言えるのかもしれない。

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