久保建英、バルサ戦歴史的勝利に「助演」で貢献 確実に仕事をやり遂げる姿を見せCL出場へまた前進 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【現地紙は「人間としてもすばらしい」】

 それで得たFK。久保は左足でファーサイドのアレクサンダー・セルロートに完璧に合わせている。ヘディングはうまく当たらなかったが、急角度に落ちる速い球筋で、そのクオリティは半端ではなかった。自らが作った好機である。

 そして71分、久保は自陣でボールを受けたフレンキー・デ・ヨングに鋭く食いつく。それによって体勢を崩したところをマルティン・スビメンディがボールを奪い、久保にパスをつける。先んじて反応していた久保は、これを迅速にドリブルで運びながらも、うまく相手を引きつけてタメを作り、ギリギリのところで再びスビメンディへ。時間とスペースを生み出したことによって、右でフリーになって待っていたセルロートが決勝ゴールを蹴り込んだ。

 久保は直接のアシストではなかったが、まさに起点になっていた。数字には表れない「助演賞」と言えるだろう。守備と攻撃が常に重なり合って力強く連動し、相手に決定的なダメージを与えていた。

 歴史的な勝利をもたらし、21歳とは思えない風格まで出つつある。

「久保は選手としてだけでなく、人間としてもすばらしいところを見せている」

『アス』紙は、試合中に久保が激しいプレスからマルコス・アロンソと交錯したシーンを好意的に取り上げていた。ふたりともイエローカードを受けることになるのだが、久保は判定後に自らマルコス・アロンソに近づいて和解の握手を交わしていた。カンプ・ノウという舞台へのリスペクトもあったのだろうが、こうした紳士的行動は意外に重んじられるのだ。

 勝負へのどう猛さが露骨に見えた一方、その行動はとてもフェアだった。それはスーパースターの品格と言えばいいだろうか。そのプレーがまた一歩、チームを来シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場(4位以内)に近づけた。

「ずっとカンプ・ノウで勝てなかったジンクスを破れたのは大きいですね。これで今シーズン、我々は(マンチェスター・)ユナイテッド、(レアル・)マドリード、バルサに勝つことができました。あとは、CL出場という"賞"を手に入れられるか。日程的には苦しいですが、残り3試合、すべてを出しきるつもりで戦います」

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