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セリエAで優勝間近のナポリは異色のメンバー構成で戦術も魅力的 CLでは注目のダークホースだ (3ページ目)

  • 西部謙司●文 Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【スタジアムの圧力は世界屈指】

 フランクフルトとの第2戦はナポリのホーム。フランクフルトは第1戦は退場者を出したこともあり、0-2とはいえそこまで力に差があったわけではない。しかし、ホームでのナポリがパワーアップするのは間違いない。

 長靴に喩えられるイタリアの国土は縦長で、北と南では人々の気質もかなり違う。ミラノとナポリでは別の国のようなものかもしれない。1990年イタリアW杯では、準決勝でイタリアとナポリの英雄だったマラドーナを擁するアルゼンチンが対戦、イタリアの南北問題が噴出した。マラドーナは「ナポリを差別してきた連中のチームを応援する必要はない」と、試合会場だったナポリの人々に呼びかけていたものだ。

 多くの日本人がイメージしている陽気でエネルギッシュなイタリア人というのは、たぶんナポリ人なのだと思う。声もでかいし、1人1人の圧がとても強い。5万5000人収容、かつてのスタディオ・サンパオロは2020年にスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナに改名されている。異様な熱気に覆われるスタジアムの圧力は世界屈指だろう。

 もともとアグレッシブなチームカラーだったが、現在はそれに合った屈強な、あるいは俊敏な選手たちが統率力のあるプレーを展開していて、ナポリの気質にも合っているように思える。圧倒的な優勝候補のいない今季、ナポリはダークホースとして注目される。

著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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