エムバペ、バイエルン戦途中出場でメッシ、ネイマール以上の力を再認識。PSG、敗れても第2戦へ希望

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 パリ・サンジェルマン(PSG)対バイエルン・ミュンヘン。優勝争いの下馬評で、マンチャスター・シティに次いで2番手と3番手に推される両チームの対戦は、決勝トーナメント1回戦一番の好カードである。

 メンバーに不安を抱えていたのはホームのPSGで、キリアン・エムバペは予想どおりベンチスタートとなった。一方、同じくコンディション不良でベンチスタートかと思われたリオネル・メッシは、ネイマールとともに4-4-2の2トップの一角としてスタメンを飾った。アウェーのバイエルンは、マンチェスター・シティから加入したばかりのジョアン・カンセロがスタメンで出場。ポジションは3-4-2-1の右ウイングバックだった。

出場が危ぶまれていたが、バイエルン戦の後半途中から出場したキリアン・エムバペ(PSG)出場が危ぶまれていたが、バイエルン戦の後半途中から出場したキリアン・エムバペ(PSG)この記事に関連する写真を見る 開始直後、パッと見で優勢に見えたのはバイエルン。それにはエムバペを欠いたPSGが貧弱に見えたことも手伝っていた。支配率ではバイエルンが大きく勝った。しかしチャンス生まれない。攻撃のルートが真ん中に偏ったことが原因だ。中央をせり上がるように前進するバイエルンの攻撃は、PSGのゴール前にさしかかると先細りとなり、行き詰まった。遅攻であるにもかかわらず、カウンターサッカーにありがちなクリスマスツリー型を描いたのだ。

 両ウイングバックは、ボール回しに絡むことも、高い位置を取ることもできなかった。マンチェスター・シティ時代、中盤テイスト漂うサイドバック(SB)として名を馳せたカンセロの魅力が発揮されることはなかった。4バックの両SBに適した人材を、大外で槍的な役割が求められるウイングバックとして起用するのはミスキャストであるかに見えた。

 バイエルンが前半に掴んだ最大のチャンスは43分。左ウイングバック、キングズレイ・コマンの縦突破からの折り返しが利いていた。PSGのDFがそれを弾き返すも、MFヨシュア・キミッヒが拾い、鮮やかなインステップで枠内シュートに持ち込むというシーンだった。

 コマンにすっかり逆を取られ、縦にきれいに外されたモロッコ代表の右SBアクラフ・ハキミは、クリストフ・ガルティエ監督の逆鱗に触れたのか、前半であえなく交代の憂き目に遭った。

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プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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