旗手怜央が右サイドバックでの2ゴールで考える自分の武器と個性。「ポジションがどこであっても、ゴール前に顔を出すことはできる」
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カタールW杯で感じた将来の課題/後編
レアル・マドリードと戦ったチャンピオンズリーグ(CL)や、カタールW杯を見て、自らのこれからの課題を感じたという旗手怜央。再開したリーグでは右サイドバックを初体験しながらも、その課題を克服するべく奮闘。その様子を語ってくれた。
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昨年末のリーグ戦で、右サイドバックながら2ゴールを挙げる活躍を見せた旗手怜央この記事に関連する写真を見る
【課題はゴール前の質】
カタールワールドカップには出場できなかったが、同じく世界中の怪物と言われる選手たちが集うUEFAチャンピオンズリーグの舞台を、今シーズン経験して感じたことがあった。
それはセルティックも、レアル・マドリードやライプツィヒを相手にゴール前まではボールを運べるということだった。加えて回数に差はあれ、シュートで終わることもできていた。
ただし、グループステージでは1勝もできずに敗退したように、突きつけられたのはその先、ゴール前における"最後の質"だった。
今季のリーグ戦においても、自分がアタッキングゾーンに顔を出す回数は増えてきているように思う。一方で、そこでシュートで終わる、さらにはゴールやアシストといった結果に結びつけることができていなかった。
カタールW杯でリオネル・メッシやキリアン・エムバペといったエースたちが、ゴールという結果でチームを勝利に導いていく姿を見て、なおさら実感するところがあった。
だから、W杯で中断していたリーグ戦が再開し、2試合目となる12月21日のリヴィングストン戦を終えたタイミングで、僕はセルティックの監督であるアンジェ(・ポステコグルー)さんの部屋をノックした。
自分がさらに成長するために、課題を聞きにいくためだった。部屋を訪ねると、アンジェさんはこう言ってくれた。
「レオがさらに成長するために必要なのは、アタッキングサードでの質を高めていくことだね」
自分自身でもその課題に目を向けていただけに、アンジェさんの言葉を聞いて、確信を持てた。
これは余談だが、試合後の会見でアンジェさんは僕が毎日、コーチのもとを訪ねていると語ってくれたが、それは試合の翌日に映像を見せてもらうためのものだ。アンジェさんは自らアドバイスしたことを明かすのではなく、会見で自分の努力とコーチの仕事ぶりを称えてくれた。そうした周囲への気配りや信頼が、監督として、人として尊敬できるところでもある。
まさか、その直後に右サイドバック(SB)で試合に出場することになるとは思ってもいなかったけど......。
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