日本戦を前にリラックス、笑顔が絶えないスペイン代表にイニエスタが鳴らした警鐘とは (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

コンディションも万全なスペインに対抗するには?

 他のチームに比べてケガ人が少ないことも味方している。ガビはドイツ戦で少し右足を痛め、プロテクターをつけて別メニューで練習していたが、日本戦に出られないほどのものではなさそうだ。

 ルイス・エンリケ監督はドイツ戦から日本戦までの時間を、主に選手を休ませることに費やしている。練習は2度ほど、それも軽目のものにし、選手を疲れさせないようにする。あとの時間は家族と会ったり、プールに入ったり、日本代表のビデオを見たりして過ごしているようだ。

 チームは監督が推奨する独特の「アーシング」という健康法を取り入れ、心を落ち着けている。これは裸足で地球と直接触れることで、心と体を充電するというもの。また、監督は、とにかくよく笑うことを大事にしているともいう。選手、スタッフは全員が家族のようで、それがピッチでのシンクロした動きにつながるのかもしれない。

 周囲に批判はなく、自信を持ち、リラックスして、おいしいものを食べ、みんなで和気あいあいと笑い合っているスペイン。もちろん実力は世界レベルでコンディションも良好だ。そんなチームに日本はどう太刀打ちしたらいいか。

 唯一の方法は、スペインにないものを使うことだろう。スペインになく、日本が持っているもの。それは闘志だ。コスタリカ戦でのまさかの敗戦の怒り、それを取り戻したいという強い意志は、今のスペインが持ちたくても持てないものだ。そしてそれが日本の最大の武器になると筆者は信じている。

 スペインのテレビにはイニエスタが連日、インタビューで登場しているが、実際、彼はこんな警鐘を鳴らしている。

「コスタリカ戦を間違えた日本は、スペイン戦をリベンジの場と思っている。彼らが目指しているのは決勝トーナメントに進むことじゃない。サムライの誇りを取り戻すことだ。彼らは大いなる闘志を持ってスペインに向かってくるだろう。日本の集中力はすばらしい。そして強く優秀だ。ドイツに聞いてみるといい」

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