カタールW杯でポルトガルの初優勝はあるか。最高レベルのテクニックの選手たちが慎重に戦って安定感 (2ページ目)
美しいプレーで魅了した時代
ワールドカップでの最高成績は初出場の1966年イングランドW杯での3位だ。この時のポルトガル代表は、ほぼベンフィカだった。エウゼビオ、コルナ、アントニオ・シモンエス、ジョゼ・アウグスト、ジョゼ・トーレスのアタックラインはベンフィカそのもの。
ベンフィカは当時の強豪クラブで、1960-61、61-62シーズンのUEFAチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)を連覇している。その後も1962-63、64-65、67-68は準優勝。ワールドカップは初出場でも、選手は経験十分で実力もあった。
1960年代のエースはモザンビーク出身のエウゼビオだ。強烈かつ正確なシュートで知られ、イングランドW杯では得点王になっている。テクニック、スピードもすばらしく、「欧州のペレ」だった。アフリカ出身選手の身体能力の高さを世界に知らしめたストライカーでもあった。
しかし、その後はしばらく低迷が続く。フェルナンド・シャラーナ、パウロ・フットレといった名手も生み出しているが、久々にポルトガルが脚光を浴びたのは1990年代に入ってからだ。1989、91年のワールドユース(現U-20ワールドカップ)を連覇した「黄金世代」の時代である。
ルイス・フィーゴ、マヌエル・ルイ・コスタ、パウロ・ソウザ、ジョアン・ピントなど、技巧派の若手が台頭。小気味のいいパスワークで敵陣を切り裂いていく攻撃は、ポルトガルのイメージを決定づけた。ただ、この世代は大きな期待を集めながらワールドカップでは結果を残していない。1998年フランスW杯は予選敗退、2002年日韓W杯もグループリーグで敗退してしまう。
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