デ・ブライネとカタールW杯で思い出す4年前の14秒カウンター。ボールを持つ彼になぜ追いつけないのか風間八宏が解説 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

正確な技術があると速くなる

 風間氏曰く、デ・ブライネは類稀な戦術眼の持ち主で、相手の動きもしっかり見えているからこそ、正確かつ素早い判断が可能になるという。

「相手を見ると言っても、何を見るのか、いつ見るのか、という要素がとても重要になりますが、その前提として言えるのは、ボールを見ているとボールに全部の視野がとられてしまうので、相手を見ることができないという点です。

 それを踏まえてデ・ブライネのプレーを見ると、彼はボールを運んでいる時でもボールを見ていないことがわかります。それを、スピードに乗った状態で、なおかつボールを正確にコントロールしながらできてしまうのが、彼が特別な選手である理由のひとつと言えます。

 これまで何度も話しましたが、結局は、正確な技術が大事だということです。正確にプレーできなければ、ボールを見ないで運ぶことはできませんし、スピードも上がりません。逆に、正確な技術があれば、それほど足が速くなくても、デ・ブライネのようにボールを運ぶ時のスピードは速くなる。

 彼が特別な選手である理由は、そこに集約されると思います」

 日本サッカーにとって忘れられない14秒となった、ロストフの悲劇から4年。円熟味を増したデ・ブライネが、カタールW杯でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。

 日本がグループEを通過した場合は再び対戦する可能性もあるだけに、デ・ブライネのプレーぶりは今大会も要注目だ。

ケビン・デ・ブライネ 
Kevin De Bruyne/1991年6月28日生まれ。ベルギー・ヘント出身。2008年にヘンクのユースからトップチームに昇格。2012年にチェルシーに移籍したが、ブレーメンへのレンタル移籍で1シーズンプレーしたのち、2014年1月にヴォルフスブルクへ。ここで2014-15シーズンはドイツ年間最優秀選手を獲得する活躍を見せ、2015年からはマンチェスター・シティに移籍してプレーしている。各年代のベルギー代表でもプレーし、A代表デビューは2010年。2014年ブラジルW杯(ベスト8)、2018年ロシアW杯(3位)に出場。

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風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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