日本代表はドイツのサネを止められるか。風間八宏氏は「すべてを持った選手」と分析、最も警戒すべき「特殊なステップ能力」 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

人数をかけても守れないレベル

「サネが若い頃であれば、サイドでボールを受けてからプレーを始めるので、ドリブルを警戒するとか、ミドルシュートを打たせないようにするとか、止めるべきポイントをある程度は絞れたと思います。

 しかし、現在のサネはすべてを持った選手に成長しました。以前に比べて最近はより一層相手を見ながらプレーできているので、どこでボールを受けようとしているのか、受けたあとにどうやって相手をはがそうとしているのかといった細かい部分にも、しっかりと対応しなければいけません。

 それと、バイエルンでのプレーを見てもそうですが、相手が密集している中央エリアでも、フリーになれる術を身につけているので、人数をかけておけば守りきれるというレベルでもありません。そこがいちばん厄介です。

 ですから、これはドイツ代表全般に言えることですが、自陣ペナルティーエリアに入って来られた場合、日本は相手選手をしっかり捕まえておく必要があるでしょう。つまり、ボールに振り回されないことが大事で、そのうえで、しっかり人を捕まえることを意識して、シュートコースもブロックしておくことです。

 そういう意味では、できるだけ相手を自陣ペナルティーエリアに近づけないような戦い方ができるかどうか。極論すれば、そこがドイツ攻略の最大のカギになると思います」

 ハンジ・フリック監督率いるドイツ代表では、主に4-2-3-1の左ウイングでプレーするサネ。当然、サネと対峙する日本の右サイドバックのパフォーマンスも重要になるが、チームとしてどのような戦略と戦術を持って、ドイツに挑むのかが、サネを封じることにもつながりそうだ。

 決戦は、11月23日。果たして、どのような結末が待ち受けているのか。

レロイ・サネ 
Leroy Sane/1996年1月11日生まれ。ドイツ・エッセン出身。シャルケのユースチームから18歳の時にトップチーム入り。20歳でマンチェスター・シティへ移籍し、4シーズンプレー。2017-18シーズンから2季連続で2ケタゴールを決めるなど活躍し、プレミアリーグ優勝に貢献した。2020-21シーズンからはドイツに戻り、バイエルンでプレーしている。ドイツ代表は2015年にデビュー。2018年ロシアW杯では惜しくもメンバー入りを逃し、今回のカタールW杯での活躍が期待されている。

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風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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