中井卓大が18歳でたどり着いたレアルへの登竜門。カスティージャの戦いとは何か (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

アンチェロッティも視察した開幕戦

 エリート軍団の神髄は、下剋上にあるのだ。

 中井は競争のなかで、自分の力を最大限に高め、殻を破る必要がある。ラウル監督は4-2-3-1、4-3-3を併用するはずで、トップ下、インサイドハーフ、あるいはセンターハーフでポジションを争う。まずは出場時間を得て、定位置をつかめるか。

 最大のライバルになりそうなのが、セルヒオ・アリーバスだ。アリーバスは、すでにトップデビューも飾っている実力者。20歳の左利きのアタッカーで、昨季も15得点7アシストとエース的活躍を見せている。今シーズンの開幕戦では10番を背負い、まさに無双感があった。

 ルーキーの中井は、まずは一歩を踏み出すことが大事だろう。

 カスティージャでの活躍は、少なくとも1部や2部の有力クラブでの抜擢に結びつく。実際、昨シーズンまでの主力のアントニオ・ブランコは1部カディス、マルヴィン・パルクは2部ラス・パルマスにローン移籍。タイミング次第では、トップチームからも声がかかる。

「マルコ(・アセンシオ)がチームを去ったとしても、誰かを獲得するつもりはない。必要ないからだ」

 カスティージャの開幕戦を視察したレアル・マドリード指揮官カルロ・アンチェロッティの言葉である。

 絶え間ない競争を刺激に、中井はどこまで化けるか。「男子、三日会わざれば刮目して見よ」の言葉のように、シーズン終了後には、日本サッカー界を背負って立つ輝きを放っているかしれない。

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