旗手怜央が思い出した「言われっぱなしではいけない」の言葉。今季の課題は、自分の言葉で伝えるチームメートとのコミュニケーション (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

自分の言葉で「意志」や「意図」を伝える

 いつだったか(吉田)麻也さんが、海外では「言われっぱなしではいけない」と言っていたことを思い出した。

 意図を伝えたり説明するのが面倒になり、「OK」と答えてしまうと、試合中に自分が見る範囲ややらなければならないことがどんどん増えていってしまう。その結果、自分の本来やるべきプレーができなくなり、自分も試合から消えてしまうし、もっと言えばチームのためにもならない。

 だから、今季は試合中やプレーが途切れたタイミングなどでも、チームメートをつかまえて話をするようにした。自分がチームメートに意図を伝え、チームメートを声で動かせるようになって、ボールを奪ったタイミングでパスが出てくるようになった。

 前にも後ろにも横にも、そうした働きかけをしていくことで自然とボールも集まってくるようになった。

 開幕戦で先制点を決めたセンターバックのスティーヴン・ウェルシュは、同サイドということもあり、ボールを運ぶ時に、常に自分を探してくれるようになった。コースがない時には「レオ! レオ!」と呼んでくれるようになった。そうした関係性を築けたのも、彼が縦にパスを出せる選手だと信頼していると伝えた結果だと感じている。

 また守備時には、横に並ぶことも多いマクレガーと補完関係を築けているのも、「OK」ではなく、自分の言葉で「意志」や「意図」を伝えた効果だと感じている。

「ターン」と「ボールを止める位置」がわかり、チームの攻撃をスピードアップさせることができた。守備では「言葉」で「周りを動かすこと」により、チームとして意図してボールを奪えるようになった。

 攻守に手応えをつかんだ開幕戦だったが、ケガもあり線戦を離脱してしまった。ただし、それほど重症ではないため、開幕戦でつかんだ手応えが消えないうちにピッチに戻ることができた。ここから再びピッチで躍動したいと思っている。

旗手怜央
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2021年12月31日にセルティックFC移籍を発表。今年1月より、活躍の場をスコットランドに移して奮闘中。3月29日のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。

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