カタールW杯の開幕日変更が正式発表。日々変化するルールと冷めた市民...開催100日前の現地でいま何が起きているか (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

100日前イベントも暑さのため屋内で

 私にとってカタール大会は人生10回目のW杯となる。これまで大会前には何度も開催国に足を運び「W杯がやってくる!」という熱気が高まってくるのを肌で感じるのが好きだった。カタールにも私はこれまで4度足を運んだが、そうした熱い気持ちは今のところまだ一度も感じることができないでいる。11年かけて、ハード面は立派なものが出来あがったが、人々のサッカーへの情熱だけはついに育まれなかった。

 大会100日前となる今週末、カタールでは大きなイベントが企画されている。ただし今のカタールの気温は、日中は43度、夜も32度になり、イベントは屋外ではできない。そのため6つのショッピングセンターで、さまざまなボールを使ったゲームが行なわれ、一番高い得点をあげた者には開幕戦のチケットがプレゼントされるという。ただ、そんな猛暑のなかでも、労働者は昼も夜も働かされている。スタジアムやインフラは早く出来あがったが、それを大会まで保持するメンテナンスが必要なのだ。

 開催時期や冷房のついたスタジアムなど、カタールW杯は従来の大会とは大きく異なる点が多いが、違うのは試合に関係することだけではない。

 現時点では大会期間中、サポーターはチケット1枚につき、その試合前後の4日間のみカタールに滞在できることになっている。つまり開幕戦と決勝のチケットだけを持っている人はカタールに滞在し続けることはできないのだ(この縛りは、その後撤廃された)。

 また、この期間カタールに入国するには試合のチケットのほかに、宿泊施設の予約も必須だ。それを手配した後、「Hayyaカード(デジタルとカードの両方がある)」なるものを申請し、初めてカタールに入国できる。ロシア大会のファンIDのようなものだが、ファンIDはスタジアムに入る時のみ必要なものだったが、「Hayyaカード」はサポーターの宿泊施設の特定や出入国の管理まできるようになっている。ちなみにこのカードを持っていればカタールのメトロはすべて無料で乗ることができる。

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