南野拓実のいちばんのストロングポイントはどこか? 風間八宏は「ペナルティーエリアの中で特別な選手」と絶賛 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

ゴールに近い場所で使うべき

「考え方ですよね。確かに南野は、ハードワークができて、守備でも貢献できるし、周りを生かすプレーもできるので、オールラウンダーな選手と見られがちです。実際、リバプールでも前線の複数ポジションを器用にこなしていた印象もありました。

 ただ、先ほども話したとおり、南野の最大の特長はペナルティーエリアの中でのプレーです。そこで多くのチャンスに顔を出して、ゴールも奪える。だから考え方として、南野に何をさせるかではなく、南野にゴールを決めさせるというところから逆算してチーム全体を考えたほうが、チームとしてもっと大きな利益を得られるかもしれない。

 もし彼をサイドで使うなら、どういうふうにペナルティーエリアの中でのプレー回数を増やしてあげられるかを、チームとして整理しておく必要があるでしょうし、敢えて試合の途中から起用するのも考え方のひとつかもしれません。

 ただし、相手からすれば、南野がゴールから遠い場所でプレーしていればそれほど怖くないので、やはりゴールに近い場所で使うべきでしょう。南野の怖さは、ゴール前で発揮されるわけですから。

 もしかしたら、彼が持っている特別な才能を発揮できるチームにまだ巡り合えていないのかもしれません。そういう意味で、今回移籍したモナコで、南野がどのポジションでプレーするのかがとても楽しみですね。もしモナコで爆発してくれれば、もっと面白い選手になれると思いますし、また新しい扉が開かれるのではないでしょうか」

 新天地モナコで、日本屈指のゴールハンターはどんな活躍を見せてくれるのか。彼自身が好む中央のポジションを奪えるかも含め、見どころは多い。そして、モナコでのパフォーマンスが、そのままカタールW杯につながるはずだ。

南野拓実
みなみの・たくみ/1995年1月16日生まれ。大阪府泉佐野市出身。中学生1年生時からセレッソ大阪の育成組織に所属し、2012年にトップチームデビュー。2015年からオーストリアのザルツブルク、2020年からイングランドのリバプールでプレー、途中ローン移籍した同リーグのサウサンプトンでのプレー(2021年)も経て、今季からフランスのモナコでプレーしている。日本代表は2015年10月にデビュー。2016年はリオ五輪を戦ったオリンピック代表でプレー。2018年からは森保ジャパンのレギュラーとして活躍している。

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風間八宏
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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