伊東純也のパーフェクトデビューにファンの期待は高まるばかり。ランスは決定力のあるウインガーを欲していた (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

自慢のスピードは通用するか

 就任2年目を迎えるスペイン人オスカル・ガルシア監督は、3バックと4バックを使い分けながら昨シーズンを乗りきったが、おそらく今シーズンもそれは変わらないだろう。

 しかし、バルセロナOBとしても知られるオスカル・ガルシア監督は、戦力的な事情によって3バックを採用するものの、できれば両翼を効果的に使う4−3−3(もしくは4−2−3−1)を目指したいのが本音のようだ。それは伊東加入後のサッスオーロ戦の採用布陣からも見てとれた。

 そういう意味では、指揮官にとって伊東は待望のウインガーということになる。仮に3バックを採用する場合は、右ウイングバックやシャドー、もしくは2トップの一角として起用される可能性も十分にあるだろう。

 もちろん、伊東にとってリーグ・アンは初めての舞台。ベルギーリーグよりもスピードを苦にしない、速さとデュエルの強さを売りにするDFが多いだけに、相手に警戒された場合は自慢のスピードだけでは打開できないシチュエーションも考えられる。

 また、同格もしくは格下との対戦では、相手DFラインの背後に広大なスペースが空いているケースは少ないため、その状況で自らの特徴を発揮するための工夫も必要になってくるはずだ。

 いずれにしても、負傷が癒えたあかつきには、日本代表のスピードスターのプレーぶりはサッカーファンにとっては注目の的となるだろう。

 神奈川大学卒業後、当時J1のヴァンフォーレ甲府でプロデビューを飾って以来、その活躍ぶりが評価され、翌年には柏レイソルに移籍し、日本代表デビューを経て、初めて日本を離れてベルギーリーグに挑戦。

 足の速さだけでなく、キャリアアップの速さも尋常ではない伊東は、果たしてヨーロッパ5大リーグの中堅クラブで、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。カタールワールドカップ前ということも含め、要必見である。

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