来日直前のPSGで深刻な問題。ネイマールは非難の的で移籍話が再燃、正念場を迎えた

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

ネイマール危機、再び(前編)

 まもなくパリ・サンジェルマン(PSG)の日本ツアーが始まる。果たしてそこにネイマールの姿はあるだろうか。

 ネイマールの危機についてはこれまで何度も伝えてきた。だから今回そう書いても、「またか」と思われるかもしれない。ただし、これまではネイマールにそれを跳ね返す時間があった。今回はちょっと違うかもしれない。

 ネイマールはブラジルで「メニーノ・ネイ」と呼ばれている。直訳すると「少年ネイ」。若くから名前を知られていた彼には常に少年のイメージがあるし、正直、中身は現在も少年のままだ。しかし、永遠の少年と思われていた彼も今や30歳。選手として残された時間はそう多くはない。世界の頂点を取り、本物のトップレベルであることを証明するのは日に日に難しくなっている。

 2017年、PSGに入団した際にはエッフェル塔に名前を書かれるほどの大歓迎を受けた。だが、期待に応えられなければ地獄が待っている。

 パリでは2年目にして「ネイマールはいらない」という声が聞こえ始めた。そして5年目の現在、ネイマールはいまだチャンピオンズリーグ(CL)優勝もできず、相変わらずケガだけは多く、チームメイト、監督、チーム幹部、メディア、サポーター、フランスサッカー協会、そしてFIFAからも背を向けられつつある。

パリでのパリ・サンジェルマンの練習に合流したネイマールphoto by Aurelien Meunier、PSG/PSG via Getty Imagesパリでのパリ・サンジェルマンの練習に合流したネイマールphoto by Aurelien Meunier、PSG/PSG via Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る ネイマールは当初、カタールW杯の顔であり、数年前のカタールでは、町のいたるところにネイマールの姿があった。だが、先日ドーハに行った時には、ネイマールを見かけたのはメトロの駅に立っていた等身大の看板一枚だけだった。

 PSGのサポーターのあるグループは、ネイマールの追放をチームに求めて署名運動を行なっており、何十万という署名が集まっているという。このままPSGに残っても、かなりの活躍をしなくては、サポーターを納得させることは難しいだろう。

 サポーターだけではなく、メディアのネイマール批判の声も強まっている。

 フランスのラジオ局『RMC Sport(ラジオ・モンテカルロ・スポーツ)』の記者ダニエル・リオロは、歯に衣着せないことで有名だが、少し前、ネイマールに対してこんな発言をした。

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