久保建英の新天地はどこだ。レアル・ソシエダ、バジャドリードをめぐるそれぞれの思惑 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/ MUTSUFOTOGRAFIA

レアル・ソシエダがベストなのは確か

 バジャドリードは久保にとっても、有力な選択肢と言える。ただ、昇格クラブだけに守勢に回る時間が長いことは間違いない。当然、選手にも守備面の多くのタスクが求められ、戦術的制約が多いなかでのプレーになるのは明白だ。

 エージェントも含めた久保サイドには、「攻撃的な能力を生かすために、能動的な戦いをするチームでプレーさせたい」という思惑があるのだろう。

 その点で合致するのはリーガ・エスパニョーラでも屈指の攻撃型チームであるレアル・ソシエダである。スペイン国内よりも日本国内のほうが、レアル・ソシエダのオファーについて多くメディアで語られているのは、それだけ多くの情報リークもあるのではないか。ヨーロッパリーグ出場という条件も"うまみ"だ。

 レアル・ソシエダは久保の2年目に獲得を本気で狙い、今も"興味を持っている"のは事実である。

 もともと、レアル・ソシエダは左利き選手を好むところがある。主将のミケル・オジャルサバルを筆頭に、カルロス・フェルナンデス、ダビド・シルバ、ミケル・メリーノなど在籍アタッカーでも多数で、アレクサンデル・セルロト、アドナン・ヤヌザイが退団後には、入れ替わりでモハメド=アリ・チョ、ブライス・メンデスなど同じく左利きアタッカーを新たに獲得したほどだ。

 チーム内は各国の代表クラスばかりでハイレベルな競争になるはずだが、久保サイドとしては望むところだろう。かつてレアル・マドリードからのレンタルで活躍した左利きMFマルティン・ウーデゴール(ノルウェー代表)は、そこで才能を開花させた。いい刺激を受け合うのだろう。

 現時点で、レアル・ソシエダは久保にとって世界でもベストに近いクラブだ。

 しかし、レアル・ソシエダはすでにチョやメンデスなどアタッカーを次々に獲得しており、久保をメンバーに加えるために大きな譲歩はしないだろう。ウーデゴールのケースもひとつの教訓になっている。せっかくチームの軸になっても、買い取りオプション付きでなかったうえに、期限付き移籍の期間さえ短縮されて買い戻されてしまい、"実入り"が少なかったのだ。

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