久保建英の新天地はどこだ。レアル・ソシエダ、バジャドリードをめぐるそれぞれの思惑

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/ MUTSUFOTOGRAFIA

 久保建英(21歳)の新天地がなかなか決まらない。

 レアル・マドリードの所属選手(マジョルカはすでに退団している)だけに、プレシーズンはこのままだと白いユニフォームを着て挑むことになりそうだ。しかし、3人の外国人枠はブラジル人選手で埋まっている。日本戦でも来日したヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、エデル・ミリトン。彼らを越えるだけの活躍を、プレシーズンだけで見せるのは現実的ではない。レアル・マドリードで2022-23シーズンを迎えるのは物理的に難しい状況だ。

 となると、移籍が濃厚である。

 しかし、有力候補として伝えられていたレアル・ソシエダは期限付き移籍ではなく買い取り獲得を望み、交渉難航が報じられている。バジャドリード、オサスナ、セルタ、さらにマジョルカ復帰も選択肢と言われるが、今のところ決定打はない。スペイン以外の、ドイツ・ブンデスリーガのクラブなどからのオファーも取りざたされているが、久保サイドはスペインでの活躍を望んでおり、"海外移籍"の可能性はほぼないはずだ。

 久保はどのチームへ移籍するべきなのか?

来季の所属先をめぐる報道が続いている久保建英来季の所属先をめぐる報道が続いている久保建英この記事に関連する写真を見る「久保がバジャドリードのオファーにNO」

 7月6日、スペイン大手スポーツ紙『アス』の記者コラムでは、その見出しで久保移籍の現状を簡潔に報じている。

「久保はプロ選手としてさらなるステップアップを求めている。しかし、昨シーズンの成績(2000分の出場分数を越えていない)では厳しい。まずは出場時間を増やし、プレースタイルやレベルに合うチームを見つけるべきだろう。バジャドリードでは重要な選手になるはずだ」

 要約すると論調は厳しいが、過去に在籍した城彰二のケガによる退団を惜しむなど、2人目となる日本人の入団を待望する気配も濃厚に漂っていた。

 今シーズン、1部に昇格したバジャドリードは、かつてレアル・マドリードでスターだったロナウドが会長を務め、フロレンティーノ・ペレス会長との関係も良好である。長年、両クラブの関係性は深い。一部では「マドリードの下部組織」と揶揄されることもあるほどで、多くのレアル・マドリードの若手が"武者修行"の場に選んできた歴史がある。

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