南野拓実のモナコ移籍は都落ちではない。市場価値は2年半で倍増、攻撃の要・トップ下での起用が濃厚 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

移籍後に南野がすべきこと

 まず、1トップに君臨するのは、フランス代表FWウィサム・ベン・イェデル。チームのキャプテンであり、昨季はキャリアハイの25得点を記録するなど、チームでは絶対的な存在だ。控えには、今季ブレイクが期待されている21歳のマイロン・ボアドゥがいる。

 左ウイングは、クリエイティブでプレースキックも得意なロシア代表アレクサンドル・ゴロビンを軸に、ドリブルで局面を打開しながらチャンスメイクする22歳のソフィアン・ディオプが控え、トップ下でもプレーするセネガル代表クレパン・ディアタもいる。

 右ウイングには、今年1月に加入した21歳のブラジル人右SBヴァンデルソンが、このポジションでブレイクしてレギュラーを奪取。それまで主軸だったポルトガル代表ジェルソン・マルティンスはベンチに追いやられたが、その突破力とチャンスメイクは依然としてレギュラークラスの実力だ。

 そしてトップ下には、経験豊富な元ドイツ代表ケヴィン・フォラントがベン・イェデルとの阿吽の呼吸でスタメンの座を確保するが、元スペイン代表のセスク・ファブレガスが退団したことにより、ここの控えは前述のディアタ以外に確定的な選手がいない。

 それでいくと、南野が最もプレーする可能性の高いポジションは1トップ下になりそうだ。

 とはいえ、夏の移籍市場はまだ続く。モナコについて言えば、今夏に主軸MFオーレリアン・チュアメニをレアル・マドリードに推定8000万ユーロ(約112億円)と出来高ボーナス2000万ユーロ(約28億円)で売却したように、選手を育てて高く売るというサイクルを揺るがぬ方針とするクラブゆえ、これから数十億円の移籍金が発生するようなビッグネームの獲得はないはずだ。逆に、主力級の売却の可能性は十分にあるだろう。

 いずれにしても、南野にとって重要なことは、できるだけ早くリーグ・アンのサッカーに慣れることに集約される。フィジカルなサッカーという点では、たしかにリバプール時代の経験はプラスになる。だが、それでもリーグ・アンのフィジカルバトルはプレミアリーグのそれとは質が異なり、とりわけ個人対個人の局面でいかにして相手を上回れるかが、馴染めるかどうかの分かれ目になるだろう。

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