久保建英の武器と課題を風間八宏が指摘。ゴールやアシストが不足しているのはなぜか (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

相手の位置を見ながらボールを受けられる

 そしてもうひとつ、久保のプレーで注目すべきポイントがあると風間氏は言う。

「それは、ボールを受けるテクニックです。よく見ればわかると思いますが、彼の場合、自分でボールを受けにいっている。それは、ボールを受けるテクニックとその自信があるからできることです。

 ボールを受けにいくとは、自分のいるところに止まっているのではなく、相手が嫌がるタイミングで空いている場所に動いて受ける。あるいは相手を見ながら逆を突いてボールを受ける。そうしたいろいろなかたちでボールを受けることができるという意味です。そのようにして攻撃にアクセントをつけられるのが彼の武器になっていて、だからいろいろな場所でプレーができるのだと思います。

 久保のほかに、現在の日本代表にもボールを受けにいくことができる選手がいるので、そういった選手たちとコンビネーションを積み重ねていくと、もっと面白いプレーができると思いますね。

 ただし、たとえば彼らがクロアチア代表のルカ・モドリッチのレベルかというと、さすがにそこまでとは言えません。逆に言えば、そこが日本の伸びしろと言うこともできると思います」

 そんな久保が、ラ・リーガの舞台で自身のストロングポイントを発揮したシーンがあった。第26節のバレンシア戦(2022年2月26日)の52分、相手ペナルティーエリア内右からカットインしたあと、エリア内左にオーバーラップした左サイドバックのジャウメ・コスタに絶妙なスルーパスをピタッと通したプレーだ。

 残念ながら、フリーでパスを受けたジャウメ・コスタがファーストタッチをうまくコントロールできず、放ったシュートも枠を外れたために久保のアシストとはならなかったが、そのプレーにも久保のストロングポイントの一端が垣間見える。

「このシーンでは、ボールから目を離して前を見ながらドリブルできています。それでいて、ドリブルが乱れていません。これができるから、逆サイドからフリーでペナルティーエリアに進入してきた味方選手を見逃さずに、正確なスルーパスを出して好機を作ることができたのだと思います。

 もっとも、このプレーでもっと高い要求をするなら、相手DFが前に出た瞬間にパスを出せるようになると、申し分ありませんね。久保が何を見てパスをしたのかは本人に聞いてみないとわかりませんが、このシーンを見る限り、タイミング的には味方を見て出していたように思います。これが、敵を見て出せるようになれば、もっと最高のタイミングでパスを通すことができたと思います」

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