久保建英にアギーレは「最高だった」。新指揮官は選手を「熱」で判断する

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

「久保がアトレティコを慌てふためかせるシーン(苛立った相手選手からファウルを受け、イエローカードを誘う)が、この一戦を象徴していた」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』はウェブ版で、映像を使いながらそう報じている。

 昨シーズンの王者であるアトレティコ・マドリードは敵地で1-0と敗れ、マジョルカに今シーズン2敗目を喫した。チャンピオンズリーグを戦っている彼らにとっては、心ここにあらず、だったか。何をしても空回りだった。

 後半から交代出場した久保建英は、前回のアトレティコ戦のように決勝点を入れるような華々しい活躍ではなかったが、明らかに流れを変えた。チームの攻勢は増し、それで得たPKをムリキが成功。勝利の立役者は言いすぎだが、勝利への風を吹かせた、という表現なら適切かもしれない。ルイス・ガルシア監督が成績不振で更迭された後、新監督に就任した元日本代表監督、ハビエル・アギーレに貴重な戦力であることを示した。

 では、久保はなぜ先発ではなかったのか?

アトレティコ・マドリード戦の後半9分から出場、勝利に貢献した久保建英(マジョルカ)アトレティコ・マドリード戦の後半9分から出場、勝利に貢献した久保建英(マジョルカ)この記事に関連する写真を見る「久保の投入が試合の流れを変えましたか?」

 試合後の記者会見で、アギーレは起用法について質問を受けている。

「タケ(久保)は1週間を通じて、先発組でプレーしてきた。しかし、何ひとつ気に入らなかった。"体温が低く"、無気力な感じで。いるべき場所がなかった。だが、今日ピッチに入った彼は熱意を見せ、プレーするに値した。最高のタケだったよ。とても満足している」

 アギーレは先発から外した理由をそう説明したが、彼は"熱""温度"で選手を判断するところがあることで知られる。

日本代表監督時代も、メキシコ人監督は熱さの点で突出していた。特にトレーニング中は顕著で、日本人からすればオーバーアクションを連発。ひとつのプレーに対し、怒っても感動しても、被っている帽子を地面に激しく叩きつけるアクションは、まさに情熱が溢れ出たものだった。戦う気持ちをどこまで伝播させられるか、それを問う指揮官だ。

 その闘将には、久保の熱が伝わってこなかったのだろう。

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