原口元気の市場価値が上昇中。得点よりもチームへの貢献度が評価されている

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Reuters/AFLO

 原口元気(ウニオン・ベルリン)が待望の今季初ゴールを決めたのは、2月26日のマインツ戦だった。前半7分、ニコ・ギーセルマンのシュートが相手ディフェンダーにあたってこぼれたボールに、ゴール前の狭いエリアで迷わず右足を振り抜きゴールネットを揺らした。

 ブンデスリーガ1部での5シーズンぶりの得点は、第24節になってようやく実現した。今季はここまで、ドイツ杯の4試合やUEFAカンファレンスリーグのプレーオフを含めた8試合でも得点がなかった。

 昨年5月に移籍したウニオン・ベルリンで、ここまでリーグ戦24試合中、先発は15試合。ただし、カンファレンスリーグのプレーオフから参加していたハードなシーズンであること、W杯予選で日本代表に招集されていることを考えれば、これは十分な数字だろう。フル出場がカンファレンスリーグの2試合だけというのは少ないような気もするが、5人交代制の現在、運動量の多い中盤の選手を交代させていくのは特別なことではない。

マインツ戦で今季初ゴールを決めた原口元気(ウニオン・ベルリン)マインツ戦で今季初ゴールを決めた原口元気(ウニオン・ベルリン)この記事に関連する写真を見る そして現在、原口の市場価値は上昇中だ。「トランスファーマルクト」によれば、過去に原口の市場価値が最高額に達したのは、2018年7月16日の450万ユーロ(約5億8000万円)だった。2017-18シーズンは、2部だったフォルトゥナ・デュッセルドルフの1部昇格に貢献。だが、そのままフォルトゥナに残るのではなく、1部だったハノーファーへの移籍を発表した。そのうえで日本代表の一員としてロシアW杯に臨み、決勝トーナメントのベルギー戦で得点した直後の時期だ。

 その後のハノーファーでの2シーズンは市場価値を下げ、一時は150万ユーロ(約1億9000万円)にまでなったが、2020-21シーズンからは緩やかに上昇。昨年12月、つまり冬のマーケットが始まる直前は300万ユーロ(約3億9000万円)まで値を戻している。これはそのまま、原口の活躍ぶり、クラブへの貢献度が認められたものと言っていいだろう。

 現在、ウニオン・ベルリンで原口に求められているのは攻撃的な役割ではなく中盤の働き。それが認知され、評価されていることがわかる。

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