鎌田大地のチームへの貢献度は欧州組随一。日本代表ではなぜ不遇なのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

【8割の力でプレーする余裕】

 身長は180センチだが、実際はそれ以上に見える。いずれにせよ日本代表のアタッカー陣の中では長身だ。スピードのある選手、大型の選手は概してサッカーがうまくないと言われる。低身長国、日本では特にそんな例を目にする機会が多いが、鎌田は例外的な選手の1番手にくる。

 もっとも、日本では長身でとおってもブンデスリーガにおいては中型だ。もっと大きな選手がゴロゴロいる。鎌田が対峙するディフェンダーには、特にそうしたタイプが数多くいる。だが、鎌田は大男を向こうに回しても8割の力でプレーする。変に頑張らない。言い換えれば、余裕のあるプレーができる。広い視野を保つことができている。ドタバタしていないのだ。タッチが繊細で、いわゆるボールさばきに長けていて、何と言ってもミスが少ない。

 守備力もある。相手に身体を寄せるセンスを感じる。ポジションワークも悪くない。フランクフルトのオリバー・グラスナー監督が採用する布陣は、主に3-4-2-1、3-4-1-2になるが、鎌田はそこで2シャドーの一角か2トップ下を担当する。

 オリンピアコスとのホーム戦、アウェー戦は3-4-1-2で、鎌田はマイボール時こそ、その2トップ下付近に現れたが、相手ボールになると、サイドにポジションを移動し、その3バックが5バックにならないよう気を配りながら、ポジションをカバーしていた。

 また、3-4-2-1では、2シャドーの主に左サイドに位置しながら、これまた相手ボールになると開き気味に構え、チームとして5バックになりにくいポジションを取っている。マイボール時のみならず、相手ボールに転じても、周囲を見渡す余裕があるのだ。

 ヨーロッパリーグ通算9点目。今季3点目のゴールを挙げたのは第4戦目のロイヤル・アントワープ戦(11月25日・ホーム)だった。3-4-2-1の2の左で出場した鎌田は、前半13分、右ウイングバック、ティモシー・チャンドラーのグラウンダー気味の折り返しを、右足でゴール左隅に流し込む先制弾をマークした。

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