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久保建英、今年初戦で古巣バルサと激突。マジョルカでも代表でも求められる「牽引する力」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

【多くのものを背負う重圧を押しのけて】

 グラナダ戦のプレーは及第点だったが、逆転負けしただけに物足りない。たとえて言えば、アトレティコ・マドリード戦で見せた劇的な決勝点を、一度だけでなく繰り返す活躍が必要なのだ。

 東京五輪でも、久保は準決勝のスペイン戦までチームを引っ張った。グループリーグは3試合連続得点を記録。フランス戦はまさに「久保ショー」だった。ただし決勝には進めず、メキシコとの3位決定戦でも敗れた。

「今までサッカーやってきてこんな悔しいことはなくて。この気持ちを忘れないようにできればなと思います」

 涙目の久保が絞り出した言葉は、自らが試合を決めきれなかった悔しさだった。

「今日はボールに触って仕掛けられたけど、点をとれないで終わったら一緒で、結果にどんどんこだわって、難しい試合でも1点、2点と先にとれるように......。どんな形でもいいから、とらないといけないと思います」

 どんな相手であっても、自分が圧倒的な力を見せるという決意が滲んだ。

 久保は17歳から18歳にかけて、誰もが驚くような飛躍を遂げた。J1のFC東京でレギュラーからエースになり、日本代表に選ばれ、レアル・マドリードと契約。それをわずか半年で成し遂げた。そしてマジョルカで定位置をつかみ、チームは降格したものの「世界トップ候補の有望な若手」の仲間入り。これだけでも快挙だが、彼は前しか見ていない。

 はたして、20歳から21歳になる久保はマジョルカで何を果たし、どこに導くのか。

 本人が好むと好まざるとにかかわらず、久保はすでに"巨大なもの"を背負っている。それは「日本サッカーのスター」の称号とも言えるし、それにまつわる多くの人々の夢や情熱や欲望にも置き換えられる。久保はチーム一の技術でマジョルカを救うだけでなく、財政的にもメインスポンサーを連れてこられるだけの力を持つ(胸にある「Alpha GEL Taica」は日本の化学メーカーだ)。

 今後も、その一挙手一投足が注目されるだろう。自身のプレーが、日本サッカー人気に直結するだけに、重圧はすさまじい。しかし、彼はそれを承知で邁進する気概を見せる。

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