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久保建英、今年初戦で古巣バルサと激突。マジョルカでも代表でも求められる「牽引する力」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 昨年12月19日、久保建英(20歳、マジョルカ)は年内最後の試合を戦っている。敵地でのグラナダ戦に先発出場。右アタッカーをスタートポジションにしながら、トップ下、左サイドまで活発に動いた。

「小さなリサイタルを見せた」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』はその表現で、久保のプレーを高く評価している。チーム最高の二つ星だった(4段階評価で、星0~3)。

 前半23分、久保は先制点の起点になっている。中盤まで落ち、ボールを受けると、振り向きざまに左足で左サイドに大きく展開し、そこからのクロスをダニ・ロドリゲスが沈めた。たったひとつのサイドチェンジに、プレービジョンとスキルの高さが横溢していた。

2021年最後のグラナダ戦で先発に返り咲いた久保建英(マジョルカ)2021年最後のグラナダ戦で先発に返り咲いた久保建英(マジョルカ)この記事に関連する写真を見る 久保は中盤でボールに触ることで、プレーテンポを生み出せる。ドリブルでの崩しだけでなく、あらゆる攻撃的センスに恵まれている。同じ左利きのリオネル・メッシが、シャビ・エルナンデス退団後の一時期、バルセロナでプレーメイクの役割を担っていたが、まさにその系譜の選手なのだろう。

 しかし、久保の最大の魅力は、ゴールに近づいてもプレー精度が落ちず、むしろ上がったように見える点だろう。アトレティコ・マドリード戦での決勝点は最たるもので、世界有数のGKヤン・オブラクを前にしても、肝が据わった駆け引きから股の間を抜く一撃を決めている。ストライカーではないが、"致命傷を与えられるアタッカー"だ。

 昨年11月末、久保は膝のケガから2カ月ぶりに戦列に復帰したばかりだが、すでに暫定的エースになっていた韓国代表MFイ・ガンインを凌ぐ主役感を出している。マジョルカだけでなく、日本代表でも牽引するプレーが求められる。

 2022年、ワールカップイヤーを久保はいかに戦うのか?

 久保の第一の使命は、エースとしてマジョルカを1部に残留させることだろう。

「Tirar Del Carro」

 スペイン語で「荷車を引く」という意味から転じ、「先頭に立って引っ張る」、そんな試合を決める選手の価値を見せられるか。それはレアル・マドリードの選手として迎えられるための条件でもある。

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