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PSGの攻撃バリエーションは異常なレベル。メッシもネイマールも楽しそうだ (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 少し大袈裟に言えば、そこにはサッカーを観る楽しみの原点があった。

 この試合の4日前、PSGはチャンピオンズリーグ(CL)の舞台でマンチェスター・シティに逆転負けを喫した。高度なチーム戦術を最大活用するシティが、非組織的かつ圧倒的な個の力で戦うPSGを凌駕した試合----見方次第でそうなるが、振り返れば、前回の対戦ではその逆の結果も生まれていた。

 もちろん、国内とほかのヨーロッパではまったく別のチームに変わるPSGゆえ、対戦の図式をそこまで単純化できないのも事実。だが、少なくとも対照的な両チームによる戦いの決着は、まだ結論が出ていないと見るのが妥当だ。

 なにより「MNMトリオ」と呼ばれるメッシ、ネイマール、エムバペの3人が織りなすコンビプレーが、試合を重ねるごとに急ピッチで高まっている。そのことに、このチームが持つ無限大の可能性を感じる。

 そもそも、これまで3人が同時にピッチに立ったのはわずか7試合。そのうち3試合が4−2−3−1の「ファンタスティック4」であることを考えると、4−3−3の3トップとしてMNMだけで関係を築く実践の機会は、これまで4回しかないのだ。

 当初はたしかに、まだお互いの意図やスタイルを探りながらの関係だった。特に初めてチームメイトになったエムバペとメッシは、お互いを知るための探り合いのような行き違いのプレーも散見された。

 だが、数十年にひとりの逸材同士の関係に、心配は無用だった。

「我々には3人の王様がいる」

 もちろん、いい意味でそう表現したのはポチェッティーノ監督だが、しかしこれまでのMNMを見るかぎり、誰ひとりとして王様のような振る舞いをする者はいない。むしろ、この3人に共通しているのは、お互いをリスペクトし合うという"譲り合い"の精神のように感じる。

「僕たちはケーキを分け合う必要がある」と公言したエムバペは、特にその姿勢が顕著だ。

 たとえば、メッシが壁の背後で横になったことが話題となったシティとのCL第2節。その直後に同じような場所で与えた直接FKのシーンで、エムバペは一目散に壁の背後に近づくと、「汚れ役は僕がやる」と言わんばかりに今度は自らが横になった。

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