ロナウド、ファーガソン、オーナー......。マンチェスター・ユナイテッドが抱える問題を背負う次期監督はいるのか

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

「私は(マンチェスター・ユナイテッドの)正面玄関から出ていくのだ。私がこのクラブにすべてを捧げていたことは、誰もがわかっている。このクラブは、私にとってすべてであり、我々の相性もよかった。だが不本意ながら、必要とされた結果を残せなかったので、今が身を引くべき時だ」

昇格組のワトフォードにも敗れたマンチェスター・ユナイテッド。このあとスールシャール監督(写真右)が解任された昇格組のワトフォードにも敗れたマンチェスター・ユナイテッド。このあとスールシャール監督(写真右)が解任されたこの記事に関連する写真を見る ついにユナイテッドの指揮官の座を追われたオーレ・グンナー・スールシャール監督は、解任された翌日にクラブ公式メディアのインタビューに「自らの意志で」臨み、その理由を話した。更迭された指揮官としては、実に珍しい行動だ。しかしそれほどまでに、"童顔の暗殺者"と"赤い悪魔"の絆は強いのだろう。

 現在48歳のノルウェー人指導者は、およそ12分にわたる対話の終盤に差し掛かった頃、「2日後に(チャンピオンズリーグの)ビジャレアル戦を控える選手たちに、なんて声をかけますか?」と問われると、次のように答えた。

「彼らには今朝も言ったように、自分たちを信頼するんだ、君たちはこんなものじゃない、と。胸を張り、マン・ユナイテッドの選手であることを楽しむんだ。あと1勝で次のステージに進出できる。(暫定的に指揮を執る)マイケル(・キャリック)は信頼できるから......」

 スールシャールはそう話したところで感極まり、涙を堪えていた。そして「またすぐに会おう」と言って締めくくった。"ミスター・ナイスガイ"は最後まで、愛すべきレジェンドだった。今から約3年前に、クラブの空気をひどく乱し、裏口から去っていった前任者ジョゼ・モウリーニョとは正反対だ。

 そんなスールシャールに同情する人は多い。

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