2021.11.24

ネイマール中心のセレソンをブラジル人は危惧。圧倒的な強さでカタールW杯出場もいったいなぜ?

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

強豪国のカタールW杯(1)~ブラジル

 来年の11月21日に開幕予定のカタールW杯。開催まで1年をきり、大会の出場権を手にしたチームのニュースも、世界各地から続々と寄せられている。そこで、大会1年前の強豪国の現在を紹介したい。

 まずはこれまでの優勝回数が5回を誇るブラジルから始めよう。これまでの栄光にたがわず、南米予選では圧倒的な強さを見せた。これで22大会連続のW杯出場となる。

 ブラジルは2位のアルゼンチンを6ポイント引き離し、6試合(うち1試合は未消化試合)を残した時点でW杯行きを決めた。南米予選では1番のり、世界では3番目の予選通過となる。これまで戦った13試合は無敗で11勝2引き分け。得点数27は南米予選最多で、失点4は最小だった。

 チッチ監督はすでにセレソン(ブラジル代表)を率いて5年目。ブラジル代表監督でこれほど長続きした監督を私は知らない。2年か3年でチームを去ることがほとんどだ。何度か解任や辞任の噂はあったものの、それを乗り越えここまできたのは、彼が常に周囲に対しリスペクトした行動をとるからだ。選手に対しても、スタッフに対しても、メディアに対しても、彼は常に礼儀正しく真摯に接する。

 2002年日韓W杯で優勝した時のフェリペ・スコラーリ監督が「チーム対その他」の構図を作って戦ったのとは真逆の戦法だ。そのためチーム内の空気は安定している。

 チームの中心であるネイマールは、セレソンでは王様であり、アンタッチャブルな存在だ。チッチはネイマールができるだけ気持ちよくプレーできるよう心がけていて、ネイマールは自分の脇に、自分がプレーしやすいような選手を望むことができる。サポーターとは軋轢があるが、少なくともチームメイトのなかでは彼は居心地がいいはずだ。

カタールが最後のW杯になるとも言われているブラジル代表のネイマール photo by AFP/ AFLOカタールが最後のW杯になるとも言われているブラジル代表のネイマール photo by AFP/ AFLO この記事に関連する写真を見る  チーム内でのヒエラルキーが下がっているパリ・サンジェルマン(PSG)ではそうはいかない。セレソンはいまや彼の唯一の居場所となりつつもある。だからこそネイマールはここでは力を出すことができる。得点王争いでは7ゴールを決めており2位。W杯出場を決めたコロンビア戦では、決定的なアシストを見せた。