メッシ、PSG移籍の舞台裏。なぜバルサに残れなかったのか (3ページ目)
実際、カタルーニャ人のジェラール・ピケ、セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルトは年俸を半額にすることを承諾した。またペドリは年俸の減額を自ら申し出た。チームの歴史的危機を皆が助けようとしている。
もちろんメッシはプロの選手だ。彼がより高い報酬を求めるのは悪いことではない。それを誰も責めることはできない。勝てないと思ったら、移籍することも選手としては当たり前のことなのかもしれない。だが、それは彼が最終的には自分のことだけを考えているということでもある。
メッシをあれほど愛したバルセロナのサポーターは、怒るというよりは、がっかりしている。PSGとの契約が発表された5時間後、メッシの写真はカンプ・ノウから外された。
かつてビッグクラブには必ずシンボルとなる選手がいた。そのチームで生まれ育ち、骨をうずめる選手、チームと一体となった選手だ。ミランのパオロ・マルディーニ、マンチェスター・ユナイテッドのライアン・ギグス、ローマのフランチェスコ・トッティ......。「サッカーがロマンチックだった時代はトッティとともに終わってしまった」と、アルゼンチンのある記者は嘆いている。
現在のサッカーはただのビジネスである。そのことをメッシが身をもって証明してしまった。
そしてもうひとつ。バルセロナがファイナンシャルフェアプレーのためにメッシを保持できなかったのに、飛行機で2時間のパリ(PSG)では、メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペ、セルヒオ・ラモス、ジャンルイジ・ドンナルンマなど、当代きっての高給取りの保有が許されるというのは、由々しき問題だろう。
これはスペインに比べてフランスの規定が緩いからでもあるが、PSGはそもそもリーグアンで優勝するためにメッシを獲得したわけではない。CLで優勝するためだ。それはつまりUEFAの主催するリーグの中で不公平が生じていることになる。"フェアプレー"とは言い難い。
しかし、UEFAはこの状況に今のところ手出しすることができず、皆がUEFAに不信感さえ抱きはじめている。もしこれでPSGが今シーズンCLで優勝したともなれば、彼らは金でタイトルを獲ったも同然だ。そうなれば、メッシのPSG移籍はサッカー界に大きな波紋を投げかけるきっかけとなるかもしれない。不公平を是正するためにルールが改革される可能性もある。メッシは新たなボスマン(移籍の自由をめぐってUEFAを提訴したベルギー人選手。現行のルールができるきっかけとなった)となるかもしれないのだ。
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