白熱するユーロの裏側。注意喚起はあったものの観客数100%のブダペストでは何が起きていたか
ユーロ2020は決勝トーナメント1回戦が終了した。白熱する試合もさることながら、久々に観客を入れたスタジアムが、コロナ禍での無観客に慣れてしまった目には刺激的だったのではないだろうか。
分散開催となった今回のユーロは、10カ国11会場で行なわれているが、観客数の制限は開催地によって異なる。そんな中で、ハンガリーの首都ブダペストのプスカーシュ・アレーナでは、唯一、満員の観客収容が認められていた。
プスカーシュ・アレーナで行なわれたのはグループリーグ3試合と決勝トーナメント1回戦の計4試合だ。1試合目は6月15日(現地時間)。地元ハンガリーが前大会王者ポルトガルに0-3で敗れたが、この時の観客数は5万5662人だった。2試合目は同じくハンガリーが優勝候補のフランスを迎えて、観客は5万5998人。3試合目はポルトガル対フランスで5万4886人。最後はチェコがオランダを2-0で破った決勝トーナメント1回戦で、5万2834人だった。
ユーロ決勝トーナメント1回戦で、大観衆の声援を受けて、強敵オランダを破ったチェコ グループリーグの2試合、ホーム戦となったハンガリーの観客は、圧倒的な迫力で試合をサポートした。選手たちも、本来の姿に戻ったスタジアムに喜んだ。
初戦のポルトガル戦後、ハンガリーのマルコ・ロッシ監督はこうコメントした。
「今日のような観客の声援があれば、もっと多くの試合に勝つことができるだろう。選手たちは全力を尽くしたが、試合最後の10分間に起こったことは分析が必要だ(ハンガリーは84分からたて続けに3失点した)」
また、控えGKディブス・デーネシュは雰囲気を感じる余裕があったようで、スタジアムの様子をこう語っている。
「スタジアムに近づくと、何万人ものファンが出迎えてくれて、誰にとっても高揚感をもたらしてくれた。試合中のファンの声援は、大きな力になった。負けはしたが、チームは全力を尽くしたからこそファンは試合後にも声援を送ってくれたのだろう」
続く第2戦では、世界王者フランスと1-1で引き分け、勝ち点1をもぎ取った。もし満員の観客の後押しがなかったら、この結果がもたらされたかどうか。
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